チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 46ページ目

チッコーネ

チッコーネ

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ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)

3.5

LGBTのTの物語。

主人公を軸に「私、私」という展開になってしまうのはトランスものの宿命なのか。最愛のシェルターを失うことで、苛烈な現実に直面したヒロインが、常に頑なで不機嫌そうな顔をしているのが
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ローサは密告された(2016年製作の映画)

3.7

スタジオ撮影は行われておらず、マニラの息吹と庶民の街に蠢く必要悪、そして警察の腐敗が生々しく描かれる。
いまのところ、現実にしっかりと足を着けたフィリピン作品を鑑賞できる機会はあまり多くないので、好奇
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

4.0

とにかくひとつひとつの場面に、目が吸い寄せられる。特に都会の密室場面を美しく構成する手腕は見事のひと言で「二足の草鞋」などという中傷は、絶対に差し挟ませない集中力と美意識の高さを見せつけられた。
脚本
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わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

3.0

先進国の貧困物語がパルムドールを獲るというのは、もはや定石なのかしらん。
本作の脚本や製作意図にも当然、文句のつけようはない。国営放送を協賛に迎えながら、国政を批判しており、風通しは良いのだが…。交換
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エヴァ(2018年製作の映画)

1.5

かつてジャンヌ・モローが演じた毒婦を、ユペールがリメイク!!というだけで大興奮だったのだが、鑑賞後の感想はガッカリの一言。もともと「SM共依存」みたいな救いのない話ではあるが、こうも地味にまとめられる>>続きを読む

百円の恋(2014年製作の映画)

2.7

引き篭もりという社会の最底辺が再起をかける、遅すぎた青春物語。
臭そうなダメ女というヒロイン像は、映画で観るとまだ新鮮なだけに、後半のスポコン展開は却って凡庸に映る。ただし、彼女の裡にある積年の怒りが
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東京戦争戦後秘話 映画で遺書を残して死んだ男の物語(1970年製作の映画)

4.0

成果の上がらない「行動」を繰り返すより、私的ノスタルジーへの回帰を潔しとしたがる、後ろ向きな姿勢が漂う。
理屈を弄ぶ学生運動家を擁護するようで、実は幻滅している。
個と全体の間で引き裂かれていく者の内
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銀行(1978年製作の映画)

3.5

前半のシュールかつ不穏な演出/舞台美術はヌーベルヴァーグっぽいが、脚本は基本的に破綻がなく、オーソドックスに進む社会派ドラマ。個人VS巨悪を描いている点が、近代文学っぽい。
地味で照明も暗めだが、絵は
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愛の集会(1964年製作の映画)

3.5

性愛について一般人に語らせるというドキュメンタリーだが「カトリック大国・イタリアの~」という前提があり、また今から50年も前の作品であるため、客観視はかなり必要とされる。
それでも時に、どこにでもいる
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メリイ・ウィドウ(1952年製作の映画)

3.5

映画界から好まれ、複数回撮られているドイツのオペラ。このヴァージョンは、あらすじにも若干の変更が加えられている様子。
前半の安っぽい書割や笑えないコメディ演出にうんざりするが、パリへ舞台を移してからは
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フォクシー・レディ(1980年製作の映画)

2.5

青春映画の中でもかなり出来の悪い部類で、甘っちょろいガキの暴走を、野暮な演出で描く場面がダラダラ続く。シェリー・カリーが酸素マスク内で吐血するシーンにはハッとさせられたが、彼女が死んでくれなければ、こ>>続きを読む

ピープル(2004年製作の映画)

3.0

フランスでヒットしたコメディの第二弾らしいのだが、日本には第一弾が入ってきていないままソフト化されたようで、レンタル市場ですら大失敗した様子。
すでに店頭からは消えつつあるB級作品と言ったところか…、
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HOTEL ホテル(2001年製作の映画)

4.0

全編がデジタル撮影で、出だしから鑑賞に不安が付きまとったが、照明や加工の美しさ、そして編集の力(暗視カメラ撮影や、スプリット画面も多い)で飽きさせずに観せてくる。
特にジョン・ウェブスターの退廃的な戯
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ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)

3.2

実話ベースであることと、降板劇があったせいなのか、最後まで客観的な冷静さがつきまとう。俳優たちの個々の演技に熱はあるのだが…。特に母子関係の描写がほとんどないせいで、母親の苦しみがいまひとつ伝わってこ>>続きを読む

モンテ・ウォルシュ(1970年製作の映画)

4.0

西部劇でそれらしい見せ場も数多く含まれているのだが、そのすべてに「滅びゆく伝統」、「老境の訪れ」、「終わりの予感」、そして「最後の仕事」という諦念と哀愁が付きまとう異色作。
マイナーコードが効いたジョ
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正義派(1957年製作の映画)

3.7

志賀直哉の2作品をドッキングさせたという脚本。三好栄子が前半のコメディ演出に、見事に応えている。
突然シリアスに流れる後半の展開はやはり強引で違和感を覚えるが、このチグハグさ加減は、監督の他作品にも見
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10億ドルの頭脳(1967年製作の映画)

3.7

スパイものらしい流麗な音楽と、洒落たオープニングにワクワク。中盤からの畳みかけるような演出は、監督ならでは。エキストラの数はもう少し多かった方が良いようにも思うが、戦隊シーンの迫力もなかなかのものだ。>>続きを読む

嫌われ松子の一生(2006年製作の映画)

3.5

演技しているわけでもない木村カエラが大写しになるオープニング、「アメリシンドローム」とでも呼べそうな加工編集とシュール演出が続く前半で、早速食傷気味に。
しかし観進める連れ、実は幸薄いミスフィッツの半
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ネットワーク(1976年製作の映画)

3.7

TV批判の映画と言えばフェリーニの『ジンジャーとフレッド』が思い浮かぶのだが、こちらの方が10年早くて、内容もずっと硬派。
脚本には文明への絶望が色濃いが、高度資本主義社会における人間性喪失や、米国と
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.5

イタリアの気怠くも瑞々しい真夏の日々に芽生えた恋心を、イタロディスコとピアノの調べに乗せて描く、ゲイ系青春映画の佳作。
脚本は御大ジェイムス・アイヴォリィ。やはりこの世代の人は、「成就しない恋愛」とい
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MIFUNE:THE LAST SAMURAI(2015年製作の映画)

2.0

「世界のミフネ」の役者人生を振り返るドキュメンタリーだが、やや食い足りなさが残る。
自国の名優を扱うフィルムなのにも関わらず、資料の掘り下げ方が浅いせいだろうか。
語られているのはすべて書籍などで確認
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女真珠王の復讐(1956年製作の映画)

3.5

設定が若干奇を衒っている程度で、適当にご都合主義な娯楽サスペンスなのだが、お色気サービスはかなり思い切っていて、1950年代の映画とは思えないほど。
前田通子の乳首は何度か見えているし、強風の中、下着
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悲愁物語(1977年製作の映画)

4.2

梶原一騎が原作で、設定は一応、スポ根と名声の物語だが、コメディ演出が効きすぎでシュールに観える。特に江波杏子の怪演ぶりは、素晴らしくエキセントリック!彼女ひとりが暴走しているうちは笑って観れるのだが、>>続きを読む

みつばちの大地(2012年製作の映画)

3.7

ドキュメンタリーなのだし、内容に関しては「興味があるなら見て」以外、何も言うことはない。
腹が立つのは日本公開(或いはソフト化)にあたり、監督のドイツ語ナレーションを日本語に置き換えているところ。感興
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