なお

ザ・ボーイズ シーズン3のなおのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ボーイズ シーズン3(2022年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

"父の背中"

強大な力を持つスーパーヒーローたちの暴走、そしてそれを食い止め打倒せんとするチーム、ボーイズの活躍を描くドラマのシーズン3。

✏️暴君の苦悩
前シーズンに比べて、激グロな描写は抑えめな印象。
(あくまで本作にしては、であるが)

今シーズンでは、ホームランダーやブッチャー、マザーズミルク(MM)の家族を巡る---特に”父親”についての---過去にスポットが当てられている。
また、前作からその存在が示唆されてきた伝説の戦士、ソルジャー・ボーイがその頭角を現す。

過去シーズンではホームランダー(ヴォート)vsボーイズという構図がメインだったが、MMの家族の命を奪ったソルジャー・ボーイの登場により、物語はいよいよ一筋縄ではいかなくなる。

利害の一致から手を組むブッチャーとヒューイ、ソルジャー・ボーイだが、当然それを快く思わないMMは袂を分かつことに。

一方フレンチーとキミコは自らを縛り続けてきた過去の因縁と戦う。
今シーズンでは今までいちサポート役に徹することの多いフレンチーと、主に戦闘面でボーイズの主力となってきたキミコにもスポットが当てられ個人的には満足。

特にキミコを演じる福原かれんさんの、少女のようなあどけなさと野獣のような狂暴性を同居させた演技力は目を見張るものがある。

これまでのシーズンにはなかった、ホームランダーが精神的にも社会的にも、そして肉体的にも追い詰められ弱みを見せるシーンが多いのも特徴。

✏️持効性V
ボーイズをサポートする新たなアイテム「持効性V」が、クイーン・メイヴによってもたらされる。
これを体内に取り入れることにより、24時間限定ではあるがホームランダーら能力者たちと対等に戦えるスーパーパワーを得られる。

だが、こういう系のアイテムに「代償」は付きもの。
使用を重ねるごとに、使用者の体を内部から蝕んでいく。

使用者によって発現する能力が異なるのも面白い。
ブッチャーはホームランダーの攻撃にも耐えうる肉体を手に入れ、ヒューイはテレポート能力プラス普通の人間ならば拳で体を貫通できるほどのパワーを手に入れた。

✏️ヴォート崩壊
一時はおとなしくしていたホームランダーの暴走は更に激化。
仲間であるはずのヴォート社内の人間や<セブン>のメンバーにパワハラ・モラハラ・セクハラを働きまくり、ハラスメントの権化と化す。

ホームランダーを演じたアントニー・スター。
彼の演技力に磨きがかかっていると感じた。
マジに何をするか分からない不気味さと底知れぬ恐怖、特に怒りで顔の筋肉をピクピクと動かしているところなど、一触即発の空気が画面越しにも伝わってくるよう。

彼の演技なくして、この作品は成り立たない。

シーズン終盤、ヴォートは名実ともにほぼ壊滅状態となる。
ブラック・ノワールとスーパーソニックはホームランダーに惨殺され、ホームランダーのやり方についていけなくなったセブンの数少ない古豪、Aトレインとディープの心は揺れ動く。
残された彼らが採る選択は、そしてストレスでハゲてしまったアシュリーが救われる日は来るのか…。

そして激戦の後、ホームランダーは息子のライアンを公の場に連れ出す。
ライアンにゴミを投げつけた一人の市民はホームランダーから制裁を受けるが、他の市民はその行動を称賛。
ホームランダーはヴォート以外の拠り所を見つけてしまった。

やはり正義のためなら、悪人(=自分にとって邪魔な者)には暴力を振るってもいいのだ、殺めてもいいのだ---という世間の声を再認識したように見えた。
それはライアンも同じようで、不敵な笑みを浮かべた彼の顔を映すカットで今シーズンは幕を閉じる。

☑️まとめ
さて、ホームランダーの影に隠れがちだが、そんな彼を恐らく一瞬で殺せるだろう能力を持つビクトリア・ニューマンもしっかり暗躍している。
自分の利になる者をあえて生かし、協力関係を結ぼうとさえする強かさは今後必ずボーイズの脅威となるはず。

セブンを抜け、スターライトという強力なメンバーがボーイズに加わった。
しかし、度重なる持効性Vの投与によりブッチャーの余命は残り僅かとなっている。

これはこの戦いの終止符が近いということを意味しているのだろうか…
なお

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