なお

仮面ライダーXのなおのレビュー・感想・評価

仮面ライダーX(1974年製作のドラマ)
3.6
「昭和ライダー」シリーズ第3作。

『初代』『V3』に引き続きTOKYO MXで放送されていたものを流れで視聴…していたのだが、今年の1月あたりからテレビの故障かケーブルの故障か地デジが映らなくなってしまったため、途中からは各種サブスクを利用しての完走となった。

一度テレビで見逃がしても何かしら視聴の手段が残されている現代社会。
いやはや便利な時代になったものである。

✏️セターーーップ!!!
前作『V3』と比べると、アクションやストーリーが若干大味であるかな…という印象だが、やっぱりこちらにはこちらでいいところがたくさんある。

まず何より魅力的な悪役・アポロガイストの存在。
彼の存在は2009年『ディケイド』で知っていたが、原典の彼の活躍を見るのは当然これが初めて。

悪の枢軸・GOD秘密警察の室長として、部下(つまり毎話登場する怪人たち)が少しでもポカをやらかそうものなら容赦なく裁きの鉄槌を下す。

反面、神敬介(X)のことを最大の敵ながら良きライバルとして認めるといった紳士的な一面も合わせ持ち、単なる「やられ役」ではない一人の悪役として、ドラマにメリハリを与えてくれた。

次に今のライダー作品では当たり前のアイテムである「武器」の登場。
通称「ライドル」と呼ばれるそれは普段はベルト内部に格納されており、戦いの際にXの掛け声とともに発現する。
持ち手についたボタンで形状を変えることができ、ロッド状になったりムチのようになったりと変幻自在。

この設定は、『BLACK RX』のリボルケインや『クウガ』のロッドフォーム…いやそれ以降の武器を操るライダーたちへと受け継がれる系譜のようなものさえ感じる。
今では当たり前になった「武器を使うライダー」の金字塔的作品と呼ぶのは少し大げさだろうか。

しかし、これだけの工夫や新機軸の採用があっても数値的には本作の評価は振るわなかった模様。

「過去作よりも視聴者の年齢層を上げる」ことが制作陣の思惑としてあったようで、物語序盤は敬介のフィアンセである涼子と、その双子の妹の霧子を巡る若干ミステリ的ともとれる内容であった。

怪人のモチーフも、過去作のように「機械+生物」のような分かりやすいものではなく「神話の怪物+生物」と小さい子どもには若干分かりづらいものがモチーフになっている。

これが不評だったのか、ヒロインであったはずの涼子&霧子姉妹は途中で降板。
代わりに途中からチコ&マコという過去作にも登場した主人公+おやっさんをサポートし作品に花を咲かせる「ライダーガールズ体制」が復活。
怪人のモチーフは途中から「歴史上の人物+生物」となり、その見た目もコミカルなものになった。

急なストーリーの方向転換や、前述の通り大味なストーリー展開、尺稼ぎでは?と思ってしまうほどアクションシーンに挟まれる謎のカット(特に後半に多い)などは、個人的に本作の評価を下げてしまう原因になった。

☑️まとめ
未来のライダー作品に続く設定や世界観を作り出しながらも、その新機軸を活かしたドラマづくりが最後までできていなかった印象。

本作放送当時は『マジンガーZ』などを始めとするロボットアニメブームの潮流の中にあり、制作陣の苦悩と努力の跡が垣間見られる作品でもある。

ちなみに本作は『初代』『V3』と比べて話数が極端に少ないが、これは視聴率はもちろん当時の在阪テレビ局が抱えていた諸問題も一因とのこと。

抗えぬロボットアニメブームの高波と、稼げなかった視聴率。
どこまでも「大人の事情」に振り回されたライダー作品であったのかもしれない。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★☆☆
なお

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