水の中の八月のドラマ情報・感想・評価

『水の中の八月』に投稿された感想・評価

うめはる

うめはるの感想・評価

5.0
0
溝口賢二に全く引けを取らないカメラワークと画面構成。
成瀬巳喜男に全く引けを取らないショットの連鎖。
山中貞雄に全く引けを取らない音楽性。


見始めてすぐに溝口の厳密なカメラワークを連想し、ワンシーン・ワンショットが織りなすショットの連鎖は成瀬を連想し、多用される波紋のリズムは山中貞雄『丹下左膳餘話 百万両の壺』でのベスト・ショットを連想。

言い過ぎかも知れないけど、いや、かなり
言い過ぎなんだけど、ここまで上手に作られた"映画"は黄金期以降なかなかお目にかかれないから興奮した。
イワシ

イワシの感想・評価

4.2
0
水を張り始めたプールを自転車で走る水橋研二は劇中で繰り返される「魚になる」を体現するようだが、それも水で満たされるまでのつかの間の運動に過ぎないというこのドラマを象徴するかのようなラストに感動。モラトリアムの最期をたった一人で悼むかのよう。
shuki

shukiの感想・評価

4.9
0
いやー、 凄い...
本物だ。

繋ぎのギャップ、対角線を意識した構図、驚くような長回し、水、役者の運動、抜けの良いロケ、フィルターを駆使した光...

何処かたけし映画を思わせる死の香りと幼さ、そして黒沢清を思い起こすカメラ。素晴らしい点を挙げだすとキリが無いが、それらを全て備えてもこの映画のようには成らないだろう。
決定的な瑞々しさに溢れている


青春を扱った作品は数あれど、最も印象に残る作品です。

NHKドラマで制作され、DVDにも成らずVHSのみしか存在しないのはとても信じられません。(NHKアーカイブにも無かったような。)

夏の夜に視聴出来れば、そのまま静かな街中を散歩したくなるような、公園のベンチに一人佇みたくなるような、心に残る個人的に最も素晴らしい青春作品です。
mingo

mingoの感想・評価

4.0
0
「日曜日が終わらない」が「陰」だとしたら「水の中の八月」は「陽」(といったニュアンスだがそれでも切迫感は付き纏う)。冒頭の自転車2人乗りは北野武「キッズリターン」水槽は黒沢清「アカルイミライ」廃棄物置き場は岩井俊二「スワロウテイル」木更津のロケは宮崎駿「千と千尋の神隠し」と90年代映画の総決算良いとこどりの、全編に渡って画面下から上にかけて黄色→エメラルドグリーンのカラーフィルターと常に付き纏う死のイメージはソクーロフ的、邦画大傑作「日曜日は終わらない」の前日譚のようなあてどない青春ドラマの傑作。
「水泳なんて才能なんだから無駄な努力はするなよ」と在日コリアンの親友新井ヒロシが吐き捨てるが二輪単車に跨り泳がせたら学校一、かたやチャリで爆走する主人公の水橋は努力せどヒロシには敵わない。そんな中想いを寄せる転校生の橋本レイコにヒロシへの橋渡しを頼まれる水橋研二の気持ち分かりみしか無かった…なんせ私も親友に好きな人をとられたことがあるのでケンジ(水橋)負けるな、と前のめり。そんな三角関係のもやもやをプール、干潟、物置のような屋上、廃棄物置き場、廃屋、廃工場をチャリでゆく。水の中を走る自転車のイメージが円運動として執拗に反復され、解放のためのカウントダウンによってより追い詰められる。夜の屋外で麻雀する高橋明、若松孝二、友川カズキ、加藤正人の4人最高。一席、変わって欲しい。
え

えの感想・評価

4.0
0

このレビューはネタバレを含みます

『日曜日は終わらない』へのつながりを感じる時間空間の浮遊、そしてまたしても凄まじいロケーションの数々、数分ごとに心を鷲掴みにされるショットに心が抉られる
タイヤの山、鳥居、海辺近くのコンテナ、埋もれた電信柱、リヤカー
私たちの青春は水たまりの中にあったのか、

「好きだからやってるんだよー!」って浅瀬に飛び込んで裸になる大杉漣に思う憧れ
冒頭日常らしかったものがたしかな日常として繰り返される、屋上、お弁当
25年生きた女の子への弔い、何も言わずに「麦茶飲む?」って 魚になりたい女の子がいたってなんら不思議じゃない


麻雀仲間の友川カズキらしき人物に動揺したら本人だった...
昼寝

昼寝の感想・評価

3.5
0
ロケーションと撮影、100点! とにかく眼が楽しい。それでもあんまり乗れなかったのは昔から無軌道な若者みたいな主題がどうも苦手だから。それを感傷的に流されても「おう……」としか思えなくなっちゃう。とはいってもやっぱり映像は近未来SFの世界みたいでとにかく最高。どこまでも続く砂浜に鎮座する巨大な鳥居、タイヤのピラミッド、謎の建造物、水のないプール、その世界を自転車でグルグル。しかし俺はフィルターがかった映像が嫌いなので生の色を見せてくれよ! ともやっぱり思う。バスケットボールの上にオレンジ色の水筒を立て、それを抱えて口元をタオルで隠しているヒロイン伊藤歩の初登場シーン、やたらと「性」を感じた。
sonozy

sonozyの感想・評価

4.0
0
『水の中の八月 / August in the Water(1995)石井聰亙』と同名ですが、こちらは関川夏央の短篇小説のNHKによるドラマ化。英題は『Fishes in August 』

いつもチャリに乗っている健治(水橋研二)の高校最後の夏休み。
健治の10, 9, 8, 7, 6…というカウントダウンの声。自転車で学校のプールにやってきた水泳部員の健治は、水の抜けたプールに水を入れながら、モップをセットした自転車に乗りプールの底を掃除する。このオープニングからいい!

4階建ての団地の屋上にある貯水タンクスペースが健治の基地。朝、自転車の上に寝ながら穴を開けたペットボトルの水を頭に浴びるという起用なことをしていると、姉が弁当を持ってきてくれ、自転車を1階まで階段で担ぎ降ろすと、自転車に乗りながら弁当を食べ(笑)学校へ向かう。

同級生で水泳部のエース、在日コリアンの新井ヒロシはハーレーに乗るワル系。
健治が秘かに想いを寄せる橋本レイコ(伊藤歩)はヒロシと付き合いたいと健治に橋渡しを頼む。
健治がなぜヒロシがいいのか聞くと、レイコは「私、妊娠してみたいの。妊娠させてくれる人を探してるの。。」と答える。
健治の気持ちを知るヒロシはレイコとの関係に乗り気を見せないが・・・

健治の家族は、いつも違う男を連れて来る姉、ブラジルの女性と再婚決めちゃう父(林隆三)。
海辺のガラクタに囲まれた掘っ立て小屋に暮らす男(大杉漣)。
ヒロシが健治にひと夏の体験をさせようと紹介するスナックのリエ(柳愛里)。
「石と同じで水にも“目”がある。その“目”を縫って泳ぐと嘘みたいに軽い。」と語った監督(塩見三省)の秘密。

健治が住む螺旋階段の団地(スターハウス)。
木更津市 江川海岸の海中電柱。
斜面にタイヤが積まれた山状の遊具。
砂地の鳥居。
富津岬先端の「明治百年記念展望塔」
工場地帯を背景にする干潟。
黄色みがかった映像処理と併せ、ロケーションが素晴らしい。

健治一人で、レイコと二人、ヒロシと二人、そして三人で乗るチャリ。
健治と一心同体?となったチャリも本作の主役で、そのシーンもいい。

高画質版で見たいので、再放送・配信・円盤化希望!

ギリシャ・テッサロニキ国際映画祭: ゴールデン・アレクサンダー賞(最優秀外国作品賞)、国際批評家連盟賞
サン・セバスティアン国際映画祭: 新人監督賞
ベルギー・モンス国際映画祭: 最優秀脚本賞
ギャラクシー賞: 奨励賞
lingmudayan

lingmudayanの感想・評価

4.0
0
冒頭のプールからそうなのだが木更津の海を使った青、緑、黄土色の画が素晴らしい。この黄土色というのが青や緑から連想される華やかさとは異なる青春を表している。
水橋研二は進路も決めずに漫然と水泳部を続ける「水の中の八月」を過ごしているが、転校生の伊藤歩に恋をする。だが才能に富む友人の関野吉記に水泳で敗れ、伊藤も取られてしまう。水橋と関野の関係はオートバイと自転車で端的に表されている。一方の関野も大きな大会で真剣勝負するほどの気概はなく、フライングで逃げてしまう。関野はラストで在日であることを公言していくと述べており、これが彼なりの真剣勝負になるのだろう。伊藤は高校生活に退屈して転校を繰り返しており、高校生3人の中では彼女が最も人生から逃げているように思われる。
水橋は「水の中の八月」の中でも叔父やホステス嬢との触れ合いの中で大人の世界を垣間見、自分より強い関野とぶつかってしっかり負ける。これこそ全うな青春ではないだろうか。そして彼は父親と角力をとり、一度は勝利するのだ。
一

一の感想・評価

-
0
チャリと一体化した水橋研二の並走ショット、なめらかなクレーンショット、時間の進みを撹乱させる長回し、屋上的空間に対する偏愛など、まんま『日曜日は終わらない』に通じている。作家性としか言いようがない。フィルターワークによる異様な色味は、まるでディストピアSFか?という感触。というかやっぱりロケーションが素晴らしいし、出来合いの小道具で作り上げるオープンセット的構築物が実に贅沢に映るのもマジック。公園の廃タイヤ山の撮り方とかほんとかっこいい。それから、『日曜日~』に先んじてここでもロマンポルノなキャスティングが。芹明香(!)である。加えて、若松孝二と友川カズキがどうでもいいカメオ出演をするシーンで一緒に麻雀卓を囲む男の中に再び高橋明(横顔しか映らないのにわかってしまうのだ)。
>|

あなたにおすすめの記事