たにたに

ONE PIECE FILM REDのたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【ユートピア】2023年103本目 今年ラスト
ワンピース✖️Adoのコラボが見事な極上エンターテイメントでした。

私はワンピース熱も特になく、映画館で観るまでは至りませんでしたが、この映画がヒットしてる点が紐溶ければ日本映画の未来は明るそうです。

もちろんAdoさんの活躍ぶりと、豪華アーティストの楽曲提供、そしてCGや様々な描画を利用した目と耳で楽しめる映画に仕上がってる点は流石でした。

注目したいのは、
残虐、強奪するような明確な"悪者"というものを作らず、さらにウタという少女の心の痛みや闇を物体化させ、人間の最大のテーマである"生きるとは"を考えさせる哲学的な内容となっていること。

ウタの目指す、みんなが笑って楽しい世界というのが、現実逃避の伴う自己欺瞞になってしまったかもしれません。音楽というものが人々を助けてくれるのは確かです。人々を熱狂させるパワーを持つことを利用して、不特定多数の人を図らずもあらぬ方向へ導いてしまう可能性を示唆しています。
歌によって生きることを決めた彼女が、その歌を利用して人々を巻き込みながら自らの命を絶とうとしている。かなり危険の思想です。
何かしらのパワーを得た時。
その利用の仕方を間違えると大変な事態を生んでしまうのかもしれません。

そして、一般人を守る権利のある海軍が、これ以上の被害を避けるため、一般人をも殺してしまおうと考え始めるあたりも闇が深いですね。

はっきりいうとシャンクスがどうとかは、個人的にはどうでもよくなりました。ファンとしては残念でしょうし、シャンクスが客寄せに利用されてる感はあります。

結構重めのテーマかなと思いましたので、楽しい楽曲たちとはかなりギャップのある複雑な作品でした。
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