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THIS IS BOSSA NOVA ディス・イズ・ボサノヴァの東京キネマのレビュー・感想・評価

4.0
コパカバーナのシーフード・レストランでおいしいランチをたらふく食べ、イパネマの海岸で昼寝をして、目覚ましにライムをたっぷり絞ったコロナビール(コロナはメキシコで、ブラジルだったらブラーマなんだけど、ここはまあイメージっつうことで・・・)を飲んでいたら、波の音に混じってボサノヴァが聞こえてきた・・・。こんな気分にさせてくれる映画だ。 だから夏の暑い日の午後、ギンギンにエアコンを効かせた部屋で、ビールを飲みながらふんぞり返って見る映画としては最高だ。

この映画、1950年代後半から1960年代の前半まで世界を席巻したボサノヴァの歴史がちょこっと解る。 この適度な説明がいい。 飽くまで楽しんで聞いてもらうというのが先だから、説教臭くせずただボサノヴァを感じてもらう、という構成がこの映画の謙虚さだ。

何故中産階級の学生から自然発生的に生まれたのか、1964年以降の軍事政権下では何故すっかり廃れてしまったのか、という話も聞きたいところだが、まあ興味のある人は勝手に調べてくれっていうことなんだろう。

とにかく、実際にボサノヴァを創った、既に70歳は過ぎて立派な老人になってしまったミュージシャン達の歌う愛の唄はしびれるほど素晴らしい。 “サウダージ”っていうのはこういうことなんだ、というのが体感できる。

何故、ボサノヴァはそんなにソフトに歌うんだ? の答えに深く納得。

“コパカバーナのアパートは一つのフロアーに20くらいの部屋があるんだ。 僕らはみんな学生だったり、昼間仕事をしていたりしてたから、夜しか練習が出来ないし、大きな音なんて出せる訳がない。 だから、ボサノヴァは小さい声で優しく歌うんだ。”
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