茜

ベルベット・ゴールドマインの茜のレビュー・感想・評価

4.8
トレスポに続く私のノスタルジー映画のひとつ。
こちらも10代の頃に大好きで、衣装や音楽にめちゃくちゃ影響されたし、サントラも聴きまくってました。
今思えば自分が若い頃に影響受けた映画ってユアン率高いなぁと思うけど、当時はジョナサン・リース=マイヤーズの美しさに心酔してたなぁ。

出てくる人達のメイクや衣装、終始流れる心地よいロック、何もかもがとにかく好きで仕方ない。
特に「The Ballad of Maxwell Demon」という曲のシーンを初めて観た時は、かっこ良すぎて衝撃だったのを今だに覚えてます。
少し古めかしさを感じる映像の質感も相まって、まるで全編PVを観ているような感覚で魅入ってしまう。
そしてグラムロックという華やかな世界の内側に垣間見える虚無感がとても儚くて綺麗だなと思ってしまう。

私は70年代当時のロックをリアルタイムで知っている訳ではないので単純に憧れを抱くけど、この映画で描かれている時代を実際に体感してきた人はどう感じるんだろう。
この映画に登場するブライアンはデヴィッド・ボウイ、カートはイギー・ポップをモデルにしている事は有名な話だけど、それすらも双方に詳しくない私にはピンと来ないのが正直なところ。
ただ色々な人の感想を観ると、特にボウイファンの人からすると当時の彼を否定されたようで複雑な気持ちを抱いてしまう映画のようですね。

ただ多分この映画は、モデルとなっているミュージシャン云々というより、この時代を体感した監督自身の物語だと私は思っていて。
だからこの映画で描かれる物語は監督のフィルターを通した世界であり、この時代の音楽を愛していた彼自身が語り部である。
だからこそ監督の主観が大いに組み込まれているので、賛否両論あるのも大いに理解は出来るんですけど。

でもやっぱり私にとって、純粋にこの映画で描かれる世界は素敵だと思うし、脆い部分も含めて綺麗だと思う。
70年代を生きていない私にとっては、やはり単純に憧れであり、眩しくて大好きな映画です。
茜