ヨーク

マッド・ハイジのヨークのレビュー・感想・評価

マッド・ハイジ(2022年製作の映画)
3.4
世の中のB級映画好きなポンコツ映画ファン共が今年の夏に『プー あくまのくまさん』と並んで注目していたのがこの『マッド・ハイジ』であろう。『くまのプーさん』の著作権が切れたのをいいことにあろうことかプーさんをスラッシャーキラーに仕立て上げた『プー あくまのくまさん』と同じようなノリで『アルプスの少女ハイジ』の登場人物たちを使ってB級バイオレンスな映画を撮ってやろうという企画がこの『マッド・ハイジ』である。
『プー あくまのくまさん』がそうだったように出オチ感が半端ない。もう予告編だけ見とけばそれでいいんじゃないかという感じもするんだけど、ちゃんと観てきましたよ。んでどうだったかというと、まぁ順当につまんなかったですね。思ってた通りにつまんない映画ではあったけど、だがしかしこの作品を世紀の傑作だと思って観に来る客なんて100万人に1人いるかどうかだと思うので『マッド・ハイジ』という映画がつまんなかったという評価は『マッド・ハイジ』という映画にとって何ら痛手ではないと思う。それを前提として言わせていただくとまぁハイジを題材にしたというフックの部分以外は本当にどうということもないB級映画でしたよ。
あらすじを軽く説明するとスイスはチーズ会社のワンマン社長であり大統領でもある男に支配されて暗黒時代を迎えていてその独裁者によって無法がまかり通るような社会になってたんですよ。そんな中でペーターは闇チーズを販売していたのだがそれがバレて処刑。怒ったハイジが独裁政府に反旗を翻して本来の平和なスイスを取り戻すために独裁者に立ち向かう、というもの。
まぁそういうもんだと思えばそこそこは楽しめるのだがあくまでもそういうもんだという範囲の中でのお話であろう。ちょこちょこ笑っちゃうシーンもあるしゴア描写も割と頑張ってるし『プー』の方とは違ってガワだけではなく元ネタであるハイジネタもそこそこは散りばめられているので低予算バカ映画としてはこんなもんだろうという感じですね。乳糖不耐症のネタを天丼しすぎで後半は若干イラっとするとか、全く出す意味のない乳首ありのおっぱいが出てきたりとかよく分からないこだわりが散見されるのだがそんな散漫な感じもとりあえずやりたいことは全部詰め込んだというダメ映画によくあるところではあるのでつまんない映画ではあるけど憎むことはできない。
あとこれは100%監督の狙いではないのだが時期的に本作の悪役のチーズ会社の社長兼独裁者の大統領というのが某ビッ〇モー〇ーの悪辣ぶりとかぶってちょっと制作側の意図せぬ笑いが生まれてしまっていましたね。あのパワハラ感満載の無能上司っぷりとかがタイミング良すぎて笑えるやら笑えないやらでしたよ。いや笑ったけど…。しかしこんなアレな映画に出てくる悪役と重ねて見てしまうような存在が現実にいるというのは笑えない現実だが、一体どうなっているんだ〇ッグ〇ーターという会社は…。
それはともかくあとはあれだな、後半にチーズゾンビみたいなのが出てくるんだけどそれは面白かったですね。チーズが原因で何でゾンビになるのかは全く意味が分からないけど、とりあえずゾンビが出てきたら面白くなりますからね。特にシナリオ的に意味がなくても忍者が出てくると面白くなるようなもんですよ。ゾンビが出てくるとそれだけで面白いですから。なのでチーズゾンビは面白かったです。
ま、冷静に考えるとこんなもんわざわざクラファンしてまで撮るなよ! と思ってしまうのだがそれも含めてしょうがねぇ映画だなぁ…という感じですね。二十歳そこそこくらいの頃の俺なら「ハイジを元ネタにしてこんなバカ映画撮っちゃうなんて超クール!」とか持ち上げてそうな気もするけど、俺ももういい年なんでね、さすがにその辺の分別は付けるようになりましたよ。しょうもない映画だなぁ、と思いながらも別に嫌いなわけではないし、たまには居眠りしながらこれくらいの映画を適当に観るのもいいんじゃないですか。
そういやなんか続編に続くみたいなラストだったけど実際やるんですかね。まぁ別にどっちでもいいし続編が公開されたとて観るかどうかは分からんけど、それくらいの距離感の映画でいいんじゃないですかね。サービスデーとかに他に観るもんなかったら次回作も観るかもしれんわ。そんくらいです。そんくらい。
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