茜

ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマスの茜のレビュー・感想・評価

5.0
マジでピーター・ジャクソン凄いって思った。
めちゃくちゃ下品でえげつないのに、めちゃくちゃ本気で熱量が高い。
すんばらしいパペットスプラッターでした。

内容云々の前にまずパペットのクオリティに驚いた。
カバやらセイウチやらハリネズミといった動物だけじゃなく虫や魚まで、色んな生き物が次から次へと飛び出して来る。
こんなに沢山のパペットを用意するだけでも大変だろうに、一体一体どれも動きや表情が細かく作り込まれてるもんだから、その労力を考えるだけで気が遠くなりそう。
大きめの動物は着ぐるみで人間が入ってるんだけど、その姿で橋の上を全力疾走したりゴルフしたりといった野外ロケシーンがシュールで超笑える、走るカバ大好き。

ストーリー自体はダークなものばかりを寄せ集めたようなお話で、セイウチとネコの浮気おセッセとか、酒を飲ませてレイプとか、エイズのゲロ吐きウサギとか、ドラッグ依存症の戦争帰還兵とか…何から何までドロドロ。
トイレに住み着き汚物を食べながら生きてるゲスいマスコミがハエっていうのはお上手で感心。
一応ハリネズミ君の恋愛要素なんかもあったりするんだけど、他が強烈過ぎてぶっちゃけどうでもいい(笑)
人間が演じると悪趣味にも程がある内容だけど、それをパペットに演じさせて鑑賞した人間が笑うというのも何だか皮肉なもんだなぁ。

終盤、待ってましたとばかりに下ネタミュージカルソングに合わせて展開される「怒りのヒポポタマス」で妙に心が浄化されたような感覚に陥る不思議。
「スカーフェイス」とか思い出してすっげー笑ったんだけど、何故かラストは心にじんわりきて哀しくなっちゃうし、マジで何なのよこれ…。
最高。
茜