映画大好きそーやさん

ナポレオンの映画大好きそーやさんのネタバレレビュー・内容・結末

ナポレオン(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

人間的英雄、あるいは悪魔。
2024年に観た映画の中で、暫定1位に躍り出た作品です。(1月現時点)
仮に去年のうちに観ることができていれば、年間ベストに確実に入っていたと思います。
ルックの重厚感、映画の世界へと没入させる劇伴、早足ではありながらも、ナポレオンの心情を追うという意味では過不足のない脚本、ホアキン・フェニックスを始めとする役者陣の演技力の高さ等々、どれを取っても高水準な出来栄えで、鑑賞中恍惚とした溜め息を何度も吐いてしまいました。
戦争描写の迫力も凄まじく、兵士の1人として戦場に立っているかのような臨場感を味わうことができました。
特にアウステルリッツの戦いでの描写は、視覚的にも満足度が高く、白と赤、水に滲んでいく、溢れていく血がただただ美しく、ずっと観ていたいと思わされました。
(デイミアン・チャゼルの『セッション』を想起させる描写でもありましたね。氷水で手を冷やすシーンのスペクタクルマシマシ版といったところでしょうか!)
また、その裏で展開されるヴァネッサ・カービー演じるジョゼフィーヌとの関わりも、ナポレオンの情けなさや格好悪さが前面に出ており、戦争描写との落差によってより哀れに思う気持ちが強くなっていた気がします。
そのバランス感は賛否が分かれる箇所かもしれませんが、私としては好意的に受け取りました。
冒頭でも申し上げた通り、ナポレオンを人間的に、1人の人間として描いていくという試みに唸らされっぱなしでした。
聞いたところによると、この雰囲気や趣向はリドリー・スコット監督の色とも言えるそうですね。
本作がリドリー・スコット監督作初鑑賞だったので、これを機に他の監督作も追ってみたくなりました。(最近同じようなことばかり言っている気がしますが!笑)
2時間33分もありましたが、それほど長く感じなかったのは自分でも驚きましたね。
恐らくかなり入り込んで観ていたのだと思います。
総じて、映画的快楽を存分に浴びることができる、圧倒的スペクタクルヒューマンドラマでした!