たにたに

市子のたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【夢とか持ったらあかんねん】2023年99本目

彼氏にプロポーズされた翌日に失踪を遂げた"市子"。
警察は、彼女の行方と過去を追う中で、山奥で発見された性別不明の遺体との関連性を疑うようになる。

「逃げたってことは、もう会いたくないんだよ」
そうかもしれないけど、義則はもう一度市子に会って彼女を抱きしめたいのである。
 
市子の過去は、 警察官と義則の、彼女の学生時代の友人やバイト仲間からの聞き込みに沿って展開されていく。

中盤から秀和という男が登場し、彼の話から、彼女が法律の闇に葬られた"ある問題"を背負っていることが明らかになる。

全部流れてしまえ…!!
学生時代、雨に打たれた市子が叫んだこの言葉は何を意味するのか。
生きたいと思っている。
働きたいとも思っている。
誰かと一緒になりたいとも思っている。
だから存在自体は消したくないはず。
だとすると、自分であるのに自分でないことへの悲痛な叫びか。何かにすがっていないと存在し得ない自分の境遇。そんな虚像の皮を消し去りたいのではないかと思う。

演技や演出がどこか演劇ぽいなと思いましたら、原作は演劇なのですね。
カメラワークもハンディのようなあえての荒さも見せつつ、覗き見ているかのような主観カットもあって見事。
座布団の使い方の癖もなかなか上手い展開かと思いました。

もちろん市子の境遇を全て理解することはできない。でも死を伴うミステリー作品に展開されたり、匂わせがあると若干の違和感はある。殺す必要があったのか、、と。

また、性欲の受け取り手として市子が存在していた点も気にかかる。きっとこれが男性だったら展開は変わるだろう。
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