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エイリアン:ロムルスのナーオーのレビュー・感想・評価

エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)
4.0
『エイリアン コヴェナント』以来、7年ぶりとなるシリーズ最新作。しかもリドリー・スコット以外の映画監督によって作られた単独『エイリアン』作品はなんと27年ぶり。

ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、ジャン=ピエール・ジュネなど名だたる映画監督たちによって製作され、それぞれの良さに溢れた『エイリアン』シリーズ、個人的にはシリーズは全作大好きです。

ともあれ今回、監督を務めるリメイク版『死霊のはらわた』や『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス。当初は配信映画として製作されていましたが、その出来栄えの良さに劇場公開映画に切り替えた という経緯がありますが、まずはこれが大正解。

観る前は良くて、ダン・トラクテンバーグの『プレデター ザ・プレイ』くらいかな?と思っていました。個人的にはあれがかなり物足りない出来だったのに対して今回の『エイリアン ロムルス』は『エイリアン』としてもフェデ・アルバレス監督作としても大ホームラン。間違いなくフェデ・アルバレス監督の最高傑作になったと思います!

本作『ロムルス』も、
"どん詰まりな若者たちが いわく付きの場所を訪れ、パンドラの箱を開けてしまう… " という『死霊のはらわた』や『ドント・ブリーズ』などフェデ・アルバレスがこれまで何度も描いてきた

改めてフェデ・アルバレスの作家性の強さを実感できる作品である一方、本作では『死霊のはらわた』以来となる残酷なゴア描写も満載。これはリメイク版『死霊のはらわた』があまりにもグロ過ぎて古参ファンたちからは不評だったことで『ドント・ブリーズ』はゴア描写なし と縛りを作って製作したフェデ・アルバレスにとって、今回はある意味、渾身のリベンジ作 という 意味もあるのかもしれません。

時系列は『エイリアン』1、2作目の間の出来事。リプリーの娘を主役にしたゲーム作『エイリアン アイソレーション』を正史とするなら、あれの5年後が舞台。なので1作目のオマージュがとても多い。1作目を見ず、本作が初めての『エイリアン』な方でも問題なく楽しめるとは思いますが、100%楽しみたいのなら絶対に1作目くらいは観ておいた方が良いです。

2よりも1派な自分にとって、とにかく楽しかったです!オマージュが多いことでオリジナリティがないという批判の声もあるそうですが、ある と ない では絶対にある方が嬉しい!終始ニッコニコで鑑賞しました…

しかも本作は過去作のオマージュだけではなく、フェデ・アルバレスならではの魅力も多い。まずはやはり予告でも印象的だった、フェイスハガーの大群が一斉に襲ってくる場面。シリーズでも、あまり観たことがない画でとても新鮮でした。

大群のフェイスハガーに気づかれないように…… という展開は完全に『ドント・ブリーズ』でアルバレス監督の過去作に似ている場面もあったり。

そして特に映画後半のアレ。
リドリーもギーガーもオバノンすらも思いつかなかったくらいの悪趣味が炸裂しており、めちゃくちゃ怖いし、めちゃくちゃ気持ち悪い…

だけど、エイリアンという今となってはアイコン化されつつある存在ではもう観客を怖がらせることはできない という製作陣なりの考えと受け取ることもできます。これは良くも悪くもシリーズ化の難しさを感じる要素でもありました…

個人的にはエイリアンに襲われる派手な場面よりも、人間とアンドロイドの関係性にグッときました。

主人公レインとアンドロイドのアンディ。
レインはアンディのことをアンドロイドではなく一人の人間として、ましてや大切な家族の一員として扱っている。

『エイリアン』や『ブレードランナー』など、人間とアンドロイドは共存できるのか? というテーマを何度も描いてきたリドリー・スコット映画を観てきた分、人間である主人公とアンドロイドであるアンディ、完全に共存し助け合いながら生きているこの2人の関係性にめちゃくちゃ感動しました。

今回は製作のリドリー・スコットもこの部分が気に入って、"クソ素晴らしい"と絶賛したのかも。

強いて言うなら、『エイリアン コヴェナント』の、あの恐ろしいエンディングの後に今回のラストは弱い… 気もする…

もっとトラウマになるくらい強烈はエンディングを用意して欲しかったところだけど、それに至るまでは最高&最高。

この『エイリアン』シリーズの人気に再び火がつき、これからもシリーズが続く可能性が生まれたことだけめちゃくちゃ嬉しいです!

フェデ・アルバレスには本作の続編も作って欲しい!なんなら他の映画監督たちにも作って欲しい!

例えば幻の『エイリアン5』を監督する予定だったニール・ブロムカンプ とか…
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