​この映画は、芸人として売れずにくすぶっている、お笑いコンビの物語。
吉本興業の数ある劇場の1つ、大宮ラクーンよしもと劇場は、芸人の墓場のような場所だった。
劇場の客入りは悪く、芸人達の扱いは良くない。

そんな中、初期メンバーであるコンビ「タモンズ」の大波と安部は、
「大宮セブン」のユニットメンバーながらも、とりわけ結果を出せず、くすぶり続けていた。
二人は低迷を打破する為、ある奇策に打って出ようとするのだが、、、というお話。
​
実在の芸人と、実際にあった出来事をもとにした、芸人の​苦悩と再生をリアルに描き出す作品。

主役は、大宮拠点メンバー内で最も売れずにもがき続けている実在のコンビ、タモンズ。
彼らを主役に据えた事で、バッドエンドになることが確約されたストーリーだとわかる。

良かった点は、「売れること」と「自分達の面白いを貫くこと」の間で揺れ動く、
芸人たちの生々しい葛藤が、きめ細かく描写されている点にある。

芸人あるあるだが、観客を笑わせるよりも、
舞台袖に集まる芸人仲間達を笑わせようとするエピソードは、
芸人話芸の中で頻繁に出てくる話だ。
白塗りメイクで大ブレイクしたくっきーのコンビ「野性爆弾」は、
ネタも性格もトガリすぎてて、舞台袖の芸人しか笑っていなかったし、
彼らを笑わせる事だけ考えてネタをしていたというのは、あまりに有名な話だ。

今作でも特に、タモンズの二人が各々抱く「自分達が面白いと思うお笑いを貫きたい」という理想と、
現実の「客に寄せてでも結果を出すべき」という焦りの二項対立構図は、
夢と現実の狭間であえぐ、全ての人間の心にグサグサと刺さるはず。

仕事をしてても似たような板挟みで苦悩する事はある。
( ﾟДﾟ)y─┛~~
会社の上司や社長は、経費削減のコストしか考えず、顧客の方を向いていないし考えもしない。
逆に、顧客と日常的に接する現場サイドの自分は、
コストカットにより、顧客に怒りや不満を抱かせたくない。
この手の言い訳で何度、客に頭を下げたことか。思い出しただけでも腹が立つ。
ヽ(`Д´)ﾉﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

ただ、私とタモンズとで決定的に異なるのは、
上司にあたる劇場支配人に、その葛藤への「理解」がある点と、
客に安易に寄せるのではなく、自分のやりたい事を貫くのが結果的に自分が売れる、
あるいは成功する事に繋がる事を、本能的に感づいている点だ。
実際、野性爆弾のくっきーも自分本位を貫いたから、時間はかかったものの、
芸人として成功している。

くっきーだけではない。今の配信界隈で大ブレイク中の永野も、
ラッセンの音楽ネタという「大衆に寄せたネタ」で一度はブレイクしたものの、
すぐに飽きられ、一発屋芸人として下降トレンドに入ってしまった時に、
再び悪口キャラとか本音ぶっちゃけキャラで再ブレイクを果たしたわけだが、
このキャラは、元々はラッセン以前の、
くすぶっている時代の、永野本来のキャラクターなのだ。

総合的に考えると、芸人というのは、仲間内だけで面白いと認識されている事ならば、
仮に結果が出ていなくとも、それを貫き通した方が長い目で見ると、その方がいいらしい。

話を本筋に戻すと、この作品は、成功者ではなく「くすぶっている」者に焦点を当てることで、
芸能界の華やかな側面ではなく、その裏にある努力、諦め、そして再起への執念を、
忠実且つ鮮明に浮き彫りにしている。

​次に良かったと思う点は、
W主演の和田正人と駒木根隆介が、本物の芸人にしか見えない、
本物のタモンズにしか見えない熱演だった点。

特に安部役の駒木根隆介は良かった。
本物のタモンズ安部が持つ、性格のナイーブさや、拗らせた自意識を丁寧に体現している。
また、迫真の演技は劇中の漫才シーンすら、リアリティのある呼吸や間で、漫才の説得力を生み出していた。

というか、大宮セブンの他のメンバーが、恐ろしいほどよく似ている。
本人の雰囲気や特徴を捉えつつ、物語における感情の機微を表現しており、
モノマネ芸人よりも本人達に似ていた。
モノマネ芸人は、クセを誇張して笑いを取るのが目的なので、
モノマネをすると、面白いけどわざとらしさも一緒に出てくる。

今作の役者陣は、実際の撮影現場でも「モノマネは辞めよう」と、
主演の和田正人自ら共演者に声をかけたそうで、
役になり切ったり、役を自分の中に入れた事から発生する「似ている感」になっているので、
モノマネ芸人のようなわざとらしさを感じない。
役になり切ったら自然と仕草や声色も似てしまった、というようなリアリティなのだ。

特にマヂカルラブリーの村上役の人は、似すぎててヤバかった。
村上はTBSの「ベスコングルメ」の頻繁な出演者で、オードリー春日と一緒にウォーキングする機会が多々あるのだが、
あの番組は素の状態というか、プライベートの雰囲気に近い形での出役になる番組で、
その時の村上の状態に、今作の村上役は恐ろしいほど似ていた。
役者って凄いなあと思った。

また、囲碁将棋の根建役が安部を問いただすシーンは、根建本人にしか見えなかった。
パンサー尾形軍団の根建の、あの熱苦しい感じがそっくりだった。

物語はタモンズが主役なので苦境な場面が多くなるが、
根底には「大宮セブン」というユニットの、温かい連帯感と友情が流れている物語でもある。
売れたメンバー、売れないメンバー、互いに見放すことなく、
時には厳しい言葉もかけ、支え合って生きている。
ラストの大宮セブン全員で、タモンズのM-1ラストイヤー敗退をイジりまくるシーンは、
感動的で胸が熱くなり、それすらも笑いに変える芸人の気概と技術に、心の底から尊敬と敬意を評したくなった。
｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡

​ただし、、、
(ΦωΦ)ﾌﾌﾌ…

基本的にはタモンズの芸人人生というのは、サクセスストーリーではないので、
失敗する、落ち込む、判断を誤る、騙される、口論で揉める等など、
悲しくなったりイライラしたりするシーンが多くなる。
最後も、苦悩→再生の回復型シナリオではあるが、
マイナスだったものがゼロに戻るくらいの回復なので、
結局何も変わっていないじゃないかという、明るい救済されるような話ではない。
そういう意味では、映画的には地味なストーリーなのだ。
そもそも、それって面白い話なのかと言われると、ノーという結論になる。

不遇で売れないタモンズを描写することは、売れない要素が垣間見える描写、つまりテンポの悪い人間を描写するのと同義なので、
愛着はあるし、応援もするし、共感もあるのだけれど、
ハリウッドザコシショウの「誇張しすぎた福山雅治」風に言えば、不思議だけど、、、

なんだか眠くなってきちゃった(笑)
ﾈﾑｲ(´･ωゞ)

映画全体の波動が、負の波動なんだよなあ。

あと、タモンズが話の中心にいる分、他メンバーの掘り下げが弱い。
タモンズのエピソードの中に、断片的に登場する大宮セブンのチョイ役メンバー、という出方なので、
芸人群像劇映画を期待すると、物足りないかもしれない。
芸人の話なのに、芸人のエピソードトークほどは面白くなかった。

良かった演者
駒木根隆介
和田正人
岡田義徳
徳井義実
吉田壮辰
柾賢志
東虎之丞
大村わたる
辻凪子

役者さんって本当に凄いなぁって改めて感じさせてくれる作品でした

徳井さんの演技もナチュラルで良かったです

「変態でいいんです」
はい！
その通り!

地元なので！
これは観るって決めてた
前はラクーン付近を歩いてるとチラシもらったりして、お笑い劇場が上にあるっていうのは知ってたけど
ドトールやドンキ、サイゼ、BOOK・OFFしか行ってなかった
チラシ配ってた方々は芸人さんらしかったから、今日の大宮セブンの中のどなたかだったのかなーなんて

コメディとあるけど、私にはバリバリの人間ドラマ
徳井さん、良い役でしたねー
岡田義徳さんの役も実在の元芸人さん？
元々お笑いは好きだったけど、エンタの神様📺から更新してなくて、ごめんなさい、観終わってからタモンズをググりました
タモンズ・あべさんと、初期からのファンの女の子🎸、それと芸人さんたちの仲間愛に、すっかり泣かされました
ずっと一緒にやって来た芸人さん仲間たち
本当に優しかった

あと、タモンズの出逢いエピソードのシーンが、本当に本当に好き
主題歌・悪い恋人♪の歌詞も歌声も沁み渡るようで、最近覚えたYouTubeミュージックで保存
懐メロばっかりのリストの中で、とびきり最近の曲となりました

以下は余談です
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私事ですが、今日、資格試験が終わりました！
いろんな意味でも終わった…というか…
でも仕方ない、くよくよしながらも次に進むためにも、しばらくは映画いっぱい観るぞ✊
思えば、ライリーノース🎥でチラッと考えてたことに本当に挑戦できたんだな
感慨深いです
レビュー書いてると、そんなことも覚えていられたりして
“私の日々は映画に直結してる！”ってつくづく思った今日でした

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年明けの発表、受かってました🙌！