ジャケット写真からどんな作品かと想像が膨らんでいたけれど、こんな作品に浅丘ルリ子が出演していたのに驚いた。
自由奔放で独りで生きて行けないのに、一人の男性だけを愛する事ができない女。そんな厄介な女、浜ミチを愛し人生が転落する男性、石堂信之。
主演は浅丘ルリ子と岡田英次。
浅丘ルリ子は、ヌードにはなっていないが、ブラとショーツだけの姿を披露するなかなか熱い演技でした。
岡田英次は、トリュフォー監督「 暗くなるまでこの恋を 」のジャン＝ポール・ベルモンドに似た役柄で良かった。

浅丘ルリ子の演技が激しく、元彼の川津祐介から始まり岡田英次へと心が動く。だがそこで終わる事無く岡田英次が溺愛する妹の婚約者の伊藤孝雄へと気持ちが変化していくとんでもない、当時の言葉でズベコウ女を演じる。
品格ある女性の雰囲気だった浅丘ルリ子が、男を転落させるかなり危なくゲスな女を熱演です。
激しい内容の作品でしたが、やはり浅丘ルリ子、お洒落だし茶髪のロングヘアが素敵でした。

増村のベストか？というレベルで凄まじい傑作。
浅丘ルリ子が一見、完全メンヘラくそビッチなのであるが、「男が同じ立場なら許されるのに」といった台詞からもみてとれるように裏返しのフェミニズム映画である。

岡田英次の浅丘ルリ子に対する「なぜ僕を抱いたんだ」と言うセリフがあるが、一般的な男女の価値観が反転している。

演出面で言うと安全に運動の映画である。
バーと奥の控え室の仕切りのカーテンを2人の男女が開けたり閉めたりするくだりなど動きの細さが見事。
愛人の川津祐介がパンイチで画面内に飛び込んでくるショットも忘がたい！

妹役の梓瑛子と岡田英次が裁判所の正門付近(外との境界上)で会話するシーンの構図⇔逆構図の切り返しが地味に良い。境界上でそれを行うことにより、切り返す度に違う風景が出現するのである。

ただ肝心の浅丘ルリ子がガリガリで魅力に欠ける上、60年前のギャルメイクで本来の可愛さが損なわれているようにしか見えず… 女優選びを完全にミスっている。
なので★マイナス0.5。

増村保造監督作品。冒頭から浅丘ルリ子さん演じるミチが強烈。この時点からミチがヤバい女だというのが表現されているのが良い。そして、次々と男たちがミチの餌食になっていく様は、ホラー。ミチはもはやモンスターだ。モンスターミチの被害者の中でも、特に伊藤孝雄さん演じる秋月は直接は関係ないのに目をつけられていて、かわいそうなキャラだった。全体として95分とは思えない強烈さと面白さがあった。ラストも良かった。