このレビューはネタバレを含みます
雑な計画は悪夢を呼ぶ。
コーエン兄弟のこういう重厚なサスペンスドラマにブラックな笑いを入れてくるセンスは相変わらず最高。
問題ないと思っていた計画なんかが、だんだんと崩れていくさまは、それだけで楽しいし、欲望が暴走していく人間性のおかしさ・バカバカしさをフォーカスされていくあたりも超皮肉が効いている。
特にウソがばれた瞬間の、全く上手く弁解できない感じとか、解決しようと色々すればするほど、悪い方向に向かっていく所とか、むちゃくちゃ共感できる。
誰にでも当てはまる経験であり、恐ろしい瞬間。
警官が訪ねて来た後のジェリーが電話をかけ「Oh Jesus」の流れとか最高。
こういった具合で、行く先々のひと悶着を淡々と描かれている。
エンドロールの小さなテロップにあるように、実話に見せかけたフェイクノンフィクションになっている。
劇中で出てくる大ボラ男ポールバニヤンの巨大像が妙に印象的だったり、物語と関係ない虚言癖の男のくだりがわざわざあったりと、それとなくアピールしてる、しょうもない煽りがコーエン兄弟らしいセンスが光る。
それこそ、出来事は嘘でも、利己的に動く人間が犯す世の中のバカバカしい事件へのメタ批判にも受け取れる。
そしてキャスト全員の爆発した個性も、とにかく魅力的。
クセのあるキャラが多く中でもスティーヴブシェミとピーターストーメアの最低コンビが最高。
サイコ感溢れるピーターとおしゃべりのブシェミのオフビートな会話ギャグも笑えて仕方ないが、ブシェミのfuck祭りが抜群に面白い。
ほぼ全部にfuckを付けると逆にバカ感が際立つし、サミュエルジャクソンとはまた違った使い方で、観ててなんか英語の勉強にもなった。
やっぱりこの人、なんか惹きつけられる魅力がある。