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リンゴ・キッドのLudovicoMedのレビュー・感想・評価

リンゴ・キッド(1966年製作の映画)
3.5
もしくは、荒野の黄金銃を持つ男

西部開拓時代に実在したスターと言えば、ビリーザキッドが著名ですが、19世紀のリンゴスターことジョニーリンゴもまた、西部の食わせ者ガンマンです。
あの『駅馬車』でジョンウェインが演じたリンゴキッドをコルブッチ流のエクスプロイテーションキャラに変容させた荒唐無稽娯楽作となる。
邦題が『リンゴキッド』といってもイタリア製マカロニウェスタン経由なため、原題は『Johnny Oro』とか『Ringo and His Golden Pistol』とバージョン違いがあり、詳しくはジョニーリンゴの代名詞だけ拝借したマカロニウェスタンって感じだ。
例えるなら『続荒野の用心棒(Django)』におけるジャンゴ亜流映画みたいな関係性に似てるだろう。

開拓時代のガンマンにとって"金"はステータスの象徴のようなものだ。ジョニーはトレードマークの黄金リボルバーをぶら下げ、ついでに拍車やパイプタバコも金ピカな彼は、朝飯前に賞金首を片づけ荒稼ぎする。
スティーヴンセガールさながら全編チートキャラすぎて、全くハラハラしない問題があるが本作では、ジョニーとひょんな関係になる保安官ビルがおいしい役を担う。
賞金稼ぎや荒くれ犯罪者がやってくる街の中でビルは唯一、法の正義で治安を維持しようとする。

タランティーノは『ヘイトフルエイト』にて、犯罪者を正当な方法で裁き死刑を実行できれば文明社会の正義が成り立つ、しかしそれらが憎悪の感情まかせに復讐という殺しが起これば、それは西部の正義と呼べるだろうと語られます。
コルブッチ映画には私利私欲まかせにぶっ殺しまくる悪人が登場しがちだ。
神父も子供もお構いなしに殺される冷酷さがライトなアクション劇に溶け込んでいるのですが、ビルは冷酷な西部の掟に対し文明社会の正義で立ち向かおうとするのだ。

ややご都合主義ではあるが、そんなこんなの攻防戦が盛り上がる。

如何にもタランティーノが子供の頃、夢中になってそうなマカロニだった。
にしても、もうちょっと黄金銃活躍してほしかったなぁ。
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