YYamada

ボウリング・フォー・コロンバインのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.6
【ドキュメンタリーのススメ】
ボウリング・フォー・コロンバイン
(2002)

◆ドキュメンタリーの種類
製作者の視点でテーマを掘り下げる
「遂行型」
◆描かれるトピックス
銃乱射事件を招いたアメリカの
 銃社会の闇

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・1999年4月、コロラド州コロンバイン高校で2人の少年が銃を乱射し、13人を殺害した末に自らの命を絶った。全米を震撼させたこの事件をきっかけに、ムーア監督はアメリカが抱える銃問題について取材を開始。
・なぜアメリカで銃犯罪が多発するのか、全米ライフル協会会長の俳優チャールトン・ヘストンへの突撃取材をはじめ、事件や銃に関係する人々にインタビューを行い、アメリカ社会が抱える闇をあぶり出していく。

〈見処〉
①こんなアメリカに誰がした?
 M.ムーア、アメリカの闇に斬り込む
・『ボウリング・フォー・コロンバイン』は、2002年に製作されたドキュメンタリー。
・1999年4月20日に発生したコロンバイン高校銃乱射事件に題材を取った本作のタイトルは「乱射事件の犯人がマリリン・マンソンの楽曲に影響を受けたとしてマンソンが批判されたにもかかわらず、犯行の直前までプレイしていたボウリングをプレイが批判されないことの皮肉」と「ボウリングのピンは、人間と形が似ており、銃の射撃練習に使われるということ」のダブル・ミーニングとなっている。
・本作では、マイケル・ムーア監督の得意技である「アポなし突撃取材」が遺憾なく発揮され、わずか400万ドルの製作費に対し、全世界で4,000万ドルの興行収入を上げ、ドキュメンタリー作品としては異例の世界的ヒットを記録。2003年の第75回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞、2002年の第55回カンヌ国際映画祭では55周年記念特別賞を受賞している。

②本作で語られるエピソード
・銀行口座開設でライフルをプレゼントする国、アメリカ。
・世界の国別銃犯罪率
・奴隷制度の復讐に対する恐怖心が、アメリカは銃社会容認の根源なのか?
・マリリン・マンソンのヘヴィメタル楽曲、コロンバイン高校銃乱射事件の遠因にされる
・恐怖心を煽る犯罪行為の過剰な報道
・アメリカとカナダの違い。カナダは家の戸締まりをしない?
・コロンバイン高校被害者、Kマートに銃弾販売停止要請の行方
・全米ライフル協会会長チャールトン・ヘストン v.s. ゲリラ取材監督マイケル・ムーア

③結び…本作の見処は?
◎:「アメリカの電波少年」マイケル・ムーアの行動力が遺憾なく発揮され、アメリカの銃社会の闇を露呈させた、社会的に意義ある傑作ドキュメンタリー。本作公開から20年、米国の歪な社会常識は変わらぬまだが、本作公開時に、社会が変わりそうな雰囲気になりかけたことを記憶している。
◎: その背景には、本作におけるマイケル・ムーアの洞察力は鋭く、彼の後年の作品よりも、合理的な主張が展開されている。
○: 重いテーマを扱う作品ながら、軽快なテンポで進む本作は、中弛みなく鑑賞出来る。マイケル・ムーアが優れた映画クリエイターであることが証明されている。
×: とは言うものの、強引な演出は本作でも見られ、コロンバイン高校の乱射事件の1年後のチャールトン・ヘストンのスピーチを、あたかも事件の11日後に強硬された全米ライフル協会の集会で発言しているような編集がなされており、一定の猜疑心を持って鑑賞したほうが良い。
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