"今後、100年香港に人が住めなくなる…"

産廃置き場で火災が発生…だが、それはただの火災ではなかった…

違法に廃棄された医療機器からセシウムが漏洩したのだ…未曾有の事態に香港政府は、環境汚染の専門家ファンと先鋭の消防隊を招集するが…

更に悪い事に巨大台風が香港を直撃するとの予報が…セシウムは水に触れると大爆発を起こしてしまうからだ…700万人もの香港人を救うべく行動を開始するが…台風上陸まで後90分…死へのカウントダウンが始まる…

仕事が忙し過ぎて、書けなかったレビューの三本目…5月は三本しか鑑賞出来ない感じですかね？

さて、最近復権の兆しが見えて来た香港映画…ド派手でド迫力…そんで持って泣かせてくる大ディザスター・ムービーの登場です。

…とは言え、コレ完全に人災じゃん…

火事！放射能！台風！

次から次へと香港に襲いかかる災難に立ち向かうのは、渋さ100%のアンディ・ラウ…流石に年齢は感じさせますが、年齢を重ねる事でさらに渋みが増し、カッコいいです。

ただねぇ…"ザ・中国"ってな感じが前面に出たプロパガンダ的なところが、何となく楽しめない…文句ひとつ無く、妙にスムーズに市民が避難するところなんざ、"中国サイコー！"とこれ見よがしな感じがして…私の考えすぎかもしれませんが、何だかねぇ〜

アンディ・ラウ主演のディザスター・パニック映画。香港映画。
アンソニー・プン監督は、『ラストダンス』の撮影監督、、ってよく考えたら、凄い。2024年の香港映画興収第3位らしいので、『ラストダンス』と併せて考えると、凄まじい。

ディザスター映画としては、新鮮さはないですが、舞台が香港というのが珍しいか。アンディ・ラウは、『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』でも、防護服着てたなぐらい。
脇役が豪華ですが、編集部的に印象的だったのは、アンディ・ラウ演じるファンの義母をウー・イェンシュー（『妻の愛、娘の時』）に加え、娘役を絶賛注目中の、ナタリー・スー（『ラスト・ソング・フォー・ユー』（OAFF2025））が演じていること。香港映画ファンとしては、押さえておくべき作品といった印象。
2025年5月18日＠アップリンク京都

• #アンディ・ラウ
• #香港映画
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『急遽公開が決定された、香港映画史上最大級のディザスター大作』

すいません、映画のコピーそのままコピらせていただきましたが、この、”急遽公開”っていうところがポイント。

おそらく、「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」の大ヒットを受け、二匹目のドジョウ狙いで急遽GWに公開したんだろうな、とは思ったのですが、いい意味で裏切られたというか、想定外に面白い映画でした。

アンディ・ラウ主演、香港映画史上最大級のディザスター大作「カウントダウン」緊急公開が決定【特報公開】 : 映画ニュース - 映画.com
https://eiga.com/news/20250319/6/


■ どんな映画か
ジャンルは、ディザスターパニックもの。

命がけで大火事と戦う消防士たちの奮闘。そこに記録的な巨大台風が迫り・・・と、ここまでは普通ですが、キャッチコピーが香港の全人口700万人を救え！になっているのはなぜか。

巨大台風であれ、それがもたらす大雨は、本来、大火災にとっては恵みの雨のはず。それが、むしろ香港全土にとっての危機になってしまうのは、違法業者がコンテナに放置した、放射性物質が雨で拡散してしまうから。

台風がもたらす大雨により、セシウム137という、チェルノブイリでも大問題になった、”水溶性の放射性物質” が大量に巻き散らかされ、このままでは香港全土は人が住めなくなってしまう。

それをなんとか防ぎたい専門家や消防士、それに救命士たち。
命がけで戦う彼らによって、果たして香港を守ることは出来るのか、というのが、あらすじです。

現場を指揮する放射線専門家に、香港映画界のレジェンド俳優アンディ・ラウ、消防士のリーダーにバイ・ユー、そして、トワイライト～の虎兄貴役が印象深いケニー・ウォンなど、大物俳優を多数揃えた、香港映画の大作でした。


■ 感想
ポスターにある、『タイムリミット90分。爆破防壁作戦、決行。』

これは消防士が活躍する「バック・ドラフト」か、いや、この規模だと、海上石油掘削施設の大爆発事故を描いた「バーニング・オーシャン」か、と思いきや、その規模をはるかに超え、現場と政府が一体となって制御不能な巨大怪物と戦う「シン・ゴジラ」でした。

そんな本作、上映館数が少ないこともあってか、上映回は最前列まで座る満員。私のような洋画難民たちが見に来て、終映とともに感想の雑談が始まるっていう感じの、満足感に満ちた上映時間でした。

多少、CG、特に遠景のCGに雑さがあったかなというのと、話の展開的にもそれなりに強引さがあったのも事実ですが、開始10分から最後まで続くド派手な爆発シーンと名優たちの素晴らしい演技で最後まで押し切ってしまう爽快さも、また良き。

特に前半の息もつかせぬ凄まじい展開は手に汗モノで、いろいろ突っ込みどころはありつつも、これはめっけもんだったなーという映画でした。

これは明らかに大スクリーン案件だと思いますので、機会あればぜひ劇場で。


■ 未曾有の放射能汚染になるメカニズムについて
本作の原題は、「Cesium Fallout」。つまり、放射性物質セシウムの地表へ沈着による汚染。

これは、かつてのチョルノービリ（チェルノブイリ）原発事故や、日本の福島第一原発事故と同じ構造。セシウムの場合、放射線の半減期が数十年あるので、長きに渡って人が住めない汚染が続いてしまう、というものです。

□ ゴイアニア被曝事故がベース
多くの放射線治療機器で使用されていたセシウム（現在はコバルトが主）。当然、安全性を保って処理されるべき医療機器ですが、これが違法に放置されていた、というのがストーリーの始まり。

これが荒唐無稽な話ではない、というところがとても怖い。
その実例が、映画内でも言及される、1987年にブラジルのゴイアニア市で実際に発生した『ゴイアニア被曝事故』

廃墟の病院に放置されていた放射線治療装置を、専門家でない廃品回収業者が解体、青く光るセシウムのカプセルの輝きに魅せられた子どもたちがそれを持ち去り、多数の人が放射性物質を触ったり、吸引・摂取したことで、死者4名、重篤被爆者数十名を含む、数百名が被爆した大事故。

本作の監督は、この実際の事故にインスピレーションを受け、本作を製作したそうです。

□ 大規模拡散のメカニズム
流れは、以下の通り。

違法業者がセシウムを含む放射線治療装置を野外コンテナ内に放置
→そこで大火事が発生し、コンテナの倒壊により放射線が流出
　→灰や煙などの微粒子に放射性物質が付着
　　→火炎による上昇気流で大気中に放射性物質が拡散
　　　→台風によって、水溶性セシウムが雨となって香港中に降り注ぐ

最悪のケースがいくつも重なるケースとはいえ、東日本大震災による福島第一原発の事故も、”想定外” であったわけで、この映画で描かれていた事が起きない保証はないという怖さがありますね。

ということで、レビューは以上です。


■ 余談
「トワイライト・ウォーリアーズ」に続き、本作にも傘のシーンがありました。
環境汚染の専門家ファンの秘書的な女性が、雨も降っていないのに黒い傘を差すシーン。
どうしても、『雨傘運動』との関係性を考えてしまいます。。