マリオ・カメリーニ監督のまたまたラブコメ、毛色が少し違って、クライムとアクションが加わっている。

微笑ましいカメリーニ作品とそのファミリーに慣れてきたのに、今作ではヒロイン(アッシア・ノリス)は恋しい人(デ・シーカ)のために、百貨店店員としてはあるまじき行為をする。商品を寸借してしまう。

パワハラ・セクハラ・クライムありで、他の方のレビューにもあったけど、『アパートの鍵貸します』に近い、悪質な上司の存在が、いつもの明るいデ・シーカの表情を曇らせ、派手なアクションをみせてくれる。

百貨店の仕事を相当にリアルに表していて、他の監督もだが、イタリアはネオレアリズモ以前から仕事を詳細に描く土壌があるように感じる。

まだそれほど数は観ていないが、戦前の30年代のイタリア映画には戦争や貧しさを感じさせるものはなく、希望やロマンが詰まっているように感じる。戦後のネオレアリズモからイタリア映画の奥行きを知ったつもりになっていたが、戦前ののびやかさはハリウッドと引けをとらないと思った。

次回は、朗らかなマリオ・カメリーニ監督がどのように作風を変えていくのか戦後作品を観ていこうと思う。

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• #イタリア映画gena
• #戦前のイタリア映画

非常に面白かった。30年代のイタリアの百貨店の内部構造、空間の面白さが特に好き。人も沢山画面に入っていてわちゃわちゃしている。男と女が嫉妬し合う構造は他のカメリーニ作品にもあるテーマ。エレベーターでふたりが出会う冒頭のショットも良い。
女が深夜の百貨店に侵入してスキー用具を盗むくだりもとても良かった。マネキンのフリをするとこ。

のべつ幕なし登場人物が会話を繰り広げ、ひたすらに扉が開閉するラブコメに、クライマックスではまんまノワール映画のようにカーチェイスと拳銃が出てきたりと完全にアメリカ映画の影響下にある。