ウィル・ロジャース三部作では個人的にこれが一番好きだが、彼はやはり独り身だ。
弁護士として帰ってきた甥の姿に自らの若き日を見るシーンの哀愁はフォード流老いの美学、蝋燭に火を灯すと浮かび上がるのは女性ではなく今は亡き最愛の妻と子供たちの写真である。そしてフォードの男たちは愛する者の墓前では全てをさらけ出す。

1890年代のケンタッキーが舞台であるという事はもちろん南北戦争の話題が数え切れぬ程出てくるし重要な主題ですらあるのだが、戦時中は境目であった州の男たちが何故か南部側についていた設定は何とも彼らしい。しかしそう考えるとハティ・マクダニエルやステピン・フェチットらは奴隷制度の名残りかとも思えてしまうのだが、ここでは飽くまで主人と召使い/町の一般市民というだけである。

弁護士初仕事というのは『若き日のリンカン』と同シチュエーションだが、やはり女性の姿は証言台や傍聴席に少数(裁判所は男が大多数を占めている)しかいない点や家庭の欠如が顕となっていることにロジャースの孤立を見る。

すなわちここでの彼は孤独や追放という意味においてなら傷害事件の容疑者と似た境遇に置かれている。決定的なのが対立候補による裁判所からの追放であるが、後に甥との共同弁護人として返り咲く彼と比較して…黒人は容疑者になる事でしか中へ入れないのだから意図せず差別化を見た気分になるが、本人は幸せそうだからいいのか。

2月末に引っ越ししてから断捨離しまくっています。断捨離はついに我が家のDVDコレクションにも手を出し始めました。
ということで、今月は見てから手放すDVD断捨離シリーズやります。

分かりやすい展開と古き良き雰囲気。今以上に差別・偏見の多い時代に作られた作品なんだなーと。
あとケンタッキーの曲が牧歌的な雰囲気。

2022-147
Apr-1

• #DVD断捨離中

1934年　アメリカ🇺🇸

ジョン・フォード監督がコメディアンのウィル・ロジャース主演で撮ったハートフルコメディ

1890年代のケンタッキー州小さな町の風変わりな判事が主人公
ある男の傷害事件を通して描かれる当時の南部の人々の人情物語

確かにほのぼのとした叙情的な良い作品でした

でも今の時代見ると黒人の描き方とかいろいろ気になるところはあります
セリフの深い意味を考えちゃいけない
1930年代の作品なんだから
劇中で歌われるフォスターの『懐かしきケンタッキーの我が家 My Old Kentucky Home』まんまの雰囲気
ラストのパレードへの盛り上がり方はグッとくるものがあります
「古き良きアメリカ」の映画です





【余談】
『風と共に去りぬ』の黒人女中役でアカデミー助演女優賞を受賞したハティ·マクダニエルが端役で出演しています

主演のウィル・ロジャースは本作公開の翌年の1935年8月飛行機事故で亡くなっています

• #ポケ2022年劇場鑑賞