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在日ミャンマー人 —わたしたちの自由—

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『在日ミャンマー人 —わたしたちの自由—』に投稿された感想・評価

5.0
2021年2月1日のクーデターで軍政回帰したミャンマー。現地や難民キャンプへ逃れた同胞への支援を続ける、在日ミャンマー人たちを追ったドキュメンタリー映画。
奇しくも、クーデターからちょうど5年後の2月1日の観賞。

3時間近い、重量級のドキュメンタリーは、各1時間前後の3部構成。

留学や技能実習生として入国し、日本で暮らすミャンマー人たちへのインタビューを通して、彼らのメンタリティーに迫る第一部。

苦学の末に資格を得、差別と戦いながら働き、祖国の人々を支援し続ける彼女たち。
拙いかもしれないが丁寧な日本語で募金を募る姿。その活動のさ中、軍事政権による圧政の経験を共有する韓国人から応援の言葉をもらう一方で、日本人女子高生から「ウルサイ、国に帰れ」と罵られたというエピソードに心が痛む。

彼らが持つ、仏教由来の「パラヒタ(ပရဟိတ / parahita)」と呼ばれる利他主義的精神性。その相互扶助の精神は、祖国の同胞に限らず、日本人にも向けられる。東日本大震災に際して、退職までしてボランティア活動に身を捧げる姿には頭が下がる。

在日ミャンマー人たちの支援で運営される、タイ国境の学校や難民施設の様子を記録した第2部。
そして、日本とミャンマーとの経済的な紐帯を紐解く第3部は、本作の白眉。

そこに登場するのは、日本ミャンマー協会 (渡邉秀央・祐介、麻生太郎) や日本財団 (笹川良一・陽平) といった民間の経済団体。軍政府とは距離をとる日本政府と、ミャンマー軍政高官とは経済的にズブズブの関係にある民間団体、という二重構造。

「文民統制」を解する人材を育てる名目で、ミャンマー軍の士官候補生を防衛省に招聘する制度。その運用中に、軍事クーデターが発生するという皮肉。その軍政にお墨付きを与えるような、経済団体や政府の振る舞い。それに異を唱える在日ミャンマー人たち。

そして映画は、「世界が終わるまであきらめない」というプロテストソングで終わる。全編を通して、彼らの互助と不屈の精神には本当に感心させられる。
と同時に、そんなミャンマー人をも、同胞を弾圧する暴力装置 (軍や警察) に変えてしまう、「国家」というものの恐ろしさを痛感する。

終映後のトークセッションに、土井敏邦 監督と俳優の 根岸季衣 氏が登壇。
伝えたいことが二つあると語る監督。一つは、解散総選挙の中、在日外国人が「危険で汚くて劣っている」と喧伝する政治家たちへの反論。もう一つは、第3部で描くように、日本は加害に加担しているという事実。

ミャンマーの現状と、在日ミャンマー人という存在を知ることができるのはもちろん、解散総選挙の争点と化している「外国人問題」への新しい視点を提供する、素晴らしいドキュメンタリー。
私も小さい運動ながら、ミャンマー軍事政権の人民弾圧に抵抗してメッセージTシャツを売ったり、様々なステージでポエトリーリーディングをしてきましたが、その折にふっと現われてはミャンマー国内に秘密で伝えるコメントを撮る人たちがいるのに毎回驚いていました。どんなところでも活動を止めない、諦めない彼らの姿が、この映像で克明に心に残り、民主主義への切実な思いが私たち日本人に欠けていることを教えてもくれます———いとうせいこう(作家・クリエーター)

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土井さんが映画で紹介してくれた在日ミャンマー人らが口にしたある言葉について考え続けている。
それは「祖国」という言葉。今この国で台頭する排外主義のなかで、「国民国家」は、僕らにとって、自由を奪うものなのか、それとも自由の拠り所なのか。土井さんは僕に言った。「祖国」と「国民国家」は異なるのではないですか、と。国を平仮名で書く「くに」というものが本来、共有されていたのではなかったのですか、と。そんなことを真正面から問う映画です———金平 茂紀(ジャーナリスト)

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彼らの背負っているものを想像する力が、私たちにあるだろうか。
軍の弾圧を逃れ、自由を求めて日本へ来た在日ミャンマー人たちは、多くの喪失を抱えながら生きている。私たちと隣り合わせで生きる彼らの背後にある現実を、自らのこととして感じるのは容易ではない。 しかし、この映画はその距離を静かに、そして確かに縮めてくれる。
日本は彼らをどのように受け入れ、あるいは裏切ってきたのか。
一世代を超えて積み重ねられてきた映像の記録は、日本とミャンマーの複雑な関係を紐解き、その過程で、日本がアジアでも数少ない政治的自由が保たれてきた場所であることを浮かび上がらせる。
そして、彼らの自由を守ることが、私たち自身の自由につながっているのだと気づかせてくれる———久保田 徹(ドキュメンタリー映像作家)

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この映画に出てくる子どもたち、若者たち、女性たちの涙から目をそらしてはなりません。愛する祖国の人たちのためにたたかう柔和で不屈の笑顔からも。ミャンマー軍事政権を実質的に支える日本の政財界に怒りがこみ上げると同時に、私にできることは何かを改めて問われました———沢 知恵(歌手)

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「日本人はなんと冷たい国民になってしまったのか」という想いが映画を見ながら心に去来しつづけた。民主主義の「大義」というより、苦しむ同胞を助けたい「利他主義」。
そんな彼らが都内で街頭活動をしていると、「うるさい、国に帰れば」と言われ、しかも軍事政権を経済的に支える側に、日本政府・企業がいる。「利他主義」、僕たち日本人はどうしたら取り戻せるのだろう———柴田 昌平(映画監督)

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そうか、そういうことなのか。今、日本でミャンマーの民主化を熱く訴え、看護士資格をとり、ミャンマー人支援レストランを作り、あるいは仕事を掛け持ちしながら街頭活動を熱心に繰り広げる彼女や彼らは、クーデター前の民主化時代を経験していたからなのか。民政移管が軍のクーデターであえなく崩れたことを嘆くより、実現した時代の意味を強く受けとめたい。同時に今の日本の民主主義をしっかりきたえていこうと思う。この映画から勇気をもらったら勇気で答える自分を作ろう———田中 千世子(映画評論家)

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幾つものインタビューを静かに寄り添うように積み重ねる土井監督。
拝見しながら『私に何が出来るんだろう…』そればかりで頭が一杯になり、せめてちょっとでも広めるのに力を貸せればと今この文を書いています。
兎に角、多くの日本人にこの映画を観て欲しい。
知って、考えて、少しでも行動に移せる契機になれば。
僭越ながら私は、まずはこの映画を応援する事から始めます———根岸 季衣(俳優)

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なぜ「たたかう」のか。そこには優しく、慈悲深く、社会の未来を思うミャンマー人の姿がある。私たち日本人はどうか。かつての日本の加害を知りながらも「民主主義」に憧れ、日本に渡った在日ミャンマー人たち。彼らは今、軍事政権を支え続ける日本政府に心底絶望している。私たちにもできることがあるはずだ———畠山 澄子(ピースボート共同代表)

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この映画から最も強く伝わってくるのは、日本政府の残念な姿勢です。
アメリカやイギリスが兵器の供給でガザのジェノサイドを可能にしているのと同様に、日本がミャンマー国軍による市民の弾圧と虐殺をODAの力で手助けしている事実を多くの人に知って欲しいです———ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

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「一瞬の幸せより、一生の幸せ」、「私は難民ではない、革命家だ」。軍事政権に抗うミャンマー人たちの言葉が胸に迫る。私たち日本人は傍観者であるだけではなく、クーデターに加担する存在なのではないか。国軍と日本政府との深い関係をめぐる証言はそんな問いをも抱かせる。彼らの言葉が突きつけるのは私たち自身の姿なのだ———松原 耕二(「報道1930」編集長キャスター)

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日本で暮らすミャンマーの人たちのこと。彼らの祖国でいま起きていること。そしてその背景に横たわるミャンマー軍事政権と日本の政財界ののっぴきならない関係。こうしたことを我々はいったどれだけ知っているのだろうか?あるいは知ろうとしているのだろうか?この作品は静かに、しかし鋭く問いかけてくる。街頭で民主化への支援を懸命に呼びかけるミャンマーの人たち。我々はその姿を見ないふり、その声が聞こえないふりをしてはいないだろうか?今、改めて自らに問い直す必要があるのでは?と、この作品は語りかけている———柳澤 秀夫(元NHK解説委員長・ジャーナリスト)

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2026.0207 第七藝術劇場