標的の島 風かたかの作品情報・感想・評価

標的の島 風かたか2017年製作の映画)

上映日:2017年03月25日

製作国:

上映時間:119分

3.9

あらすじ

 2016年6月19日、沖縄県那覇市。米軍属女性暴行殺人事件の被害者を追悼する県民大会で、稲嶺進名護市長は言った。「我々は、また命を救う“風かたか”になれなかった」。「風(かじ)かたか」とは風よけ、防波堤のことだ。  沖縄県民の8割の反対を黙殺した辺野古の新基地建設、全国から1000人の機動隊を投入して高江で強行されるオスプレイのヘリパッド建設。現場では多くの負傷者・逮捕者を出しながら、激しい…

 2016年6月19日、沖縄県那覇市。米軍属女性暴行殺人事件の被害者を追悼する県民大会で、稲嶺進名護市長は言った。「我々は、また命を救う“風かたか”になれなかった」。「風(かじ)かたか」とは風よけ、防波堤のことだ。  沖縄県民の8割の反対を黙殺した辺野古の新基地建設、全国から1000人の機動隊を投入して高江で強行されるオスプレイのヘリパッド建設。現場では多くの負傷者・逮捕者を出しながら、激しい抵抗が続く。さらに宮古島、石垣島でミサイル基地建設と自衛隊配備が進行していた。  なぜ今、先島諸島を軍事要塞化するのか? それは日本列島と南西諸島を防波堤として中国を軍事的に封じ込めるアメリカの戦略「エアシーバトル構想」の一環であり、日本を守るためではない。基地があれば標的になる、軍隊は市民の命を守らない——沖縄戦で歴史が証明したことだ。だからこそ、この抵抗は止まない。この国は、今、何を失おうとしているのか。

「標的の島 風かたか」に投稿された感想・評価

三上智恵監督の沖縄基地問題を扱ったドキュメンタリーを見るのは「標的の村」と今作で2作目です。
前回も思いましたが、ドキュメンタリー作品の力強さをものすごく感じ、胸に刺さりまくって涙なしには見れませんでした。

今作では「標的の村」にもあった辺野古の新基地と高江のオスプレイ ヘリパッド建設に加えて、新たに宮古島と石垣島の自衛隊のミサイル基地建設をめぐってそこに生きてきた人たちの平和を願う思いと必死の抵抗が描かれていました。

タイトルにもなっている「風(かじ)たかた」とは風除け、防波堤のことで、作品の中では、繰り返される米兵によるレイプ、暴行事件から子ども達を守る、或いは、辺野古や高江の基地建設を止めるべく、身体を張って工事車両を入れないように座り込みをして、これ以上沖縄をアメリカの軍事拠点にさせないため、日米両政府から沖縄を守る防波堤となることだけでなく、アメリカの戦略である「エアシーバトル構想」の一環で南西諸島を軍事要塞化して中国を軍事的に封じ込める「防波堤」にしようとしている、そんな意味を持っています。

先祖代々から土地に伝わる踊りや歌、祭など独特の文化を大切にし、若い人たちにも受け継がれている沖縄。
基地建設反対の運動にも歌や踊りで抵抗する姿が映ります。
本土に住む私にはピンと来なかったのですが、この島を、生活を文化をずっとこれからも大切にしたい気持ちと基地建設に反対する事は繋がっていることが少し分かった気がしました。

日本政府は中国の脅威を喧伝し、日本を守るために石垣や宮古にミサイル基地は必要だと言いますが、そんなものがある事で逆に標的になるわけで、島が標的になればどこにも逃げ場がない上、地下水に頼って暮らしている住民にとって、地下水脈のある所に弾薬庫を掘られたりしたら、水脈が汚染されるのではないかという不安も大きいのです。

住民には賛成の人もいて、中国から日本を守らなければならないとか、自衛隊が配備される事で、町に子どもが増えたり経済も活性化する事を期待していると言います。

それでも多くの人達がミサイル基地建設に反対するのは、かつて沖縄に米軍が上陸し地上戦になった時、日本軍は住民を守るどころか、捕虜になって軍の情報が敵に渡る前に集団自決を迫るなどしてきたり、石垣島でも軍の秘密を守るためにマラリア禍の地域に住民を追いやり、そこでおびただしい数の住民がマラリアに感染して死んでいった、そんな歴史から住民は守られずに島ごと捨て石にされる事を経験上知っているからなんですね。

辺野古や高江には全国から警察、機動隊が集められ、小さな集落に1000人以上が配置され、全国各地のナンバープレートをつけた警察車両が列をなしていました。
そこで反対する住民と対峙する若い機動隊員の表情を見てると、とても悲しい気持ちになります。
きっと住民のために正義のために警察官を志したんだと思います。
それが、基地を嫌だと言ってる人達を時に激しい暴力でもって排除する。
中には住民の叫びを聞いて目を閉じてうつむく隊員、切ない表情の隊員もいます。
こんな仕事をさせられるなんて、きっと若い機動隊員にも葛藤があるのではないかと思えました。

上映後の三上智恵監督の話をじかに聞き、沖縄が置かれている状況、日本やアメリカがやろうとしている事を知って、戦争がもうすぐ足元まで来ていて、私たちが毎日普通に生活してて知らぬ間に、知らされない間に、自ら戦争に向かって行ってたなんて、怖くて震えが止まりませんでした。

先日のトランプ大統領来日でも、散々北朝鮮危機を煽ってアメリカの武器、防衛システムを高額で売りつけられ、それを買う約束をしてしまった安倍首相。
日本は戦争しない国だと思っていたのに、いつのまに…。

沖縄を見れば、司法は機能せず、人権や民意は無視され、権力が暴力を振るって力ずくで押し通している事が露わで、民主主義はどこに?と思ってしまいます。

これは沖縄の問題だけではなく、日本に住む私たちみんなの主権や民主主義の問題なんだと思いました。
三上監督が沖縄戦に関する証言を取材しているという次回作も絶対に見なければと思います。
多くの人が見るべき作品です。

131
観るべきドキュメンタリー。

改憲、護憲が議論されてる今、
辺野古基地問題、自衛隊の石垣島・宮古島配備問題は、決して本州の私たちに関係ないことなんかなくて、これからの私達の未来に関わる問題やと思った。

弾薬庫とか、軍備を配備することで、
他国から狙われた際、真っ先に標的になることを、沖縄の人らは先の戦争を体験して、身にしみて感じてる。
追い詰められた日本軍が、住民を助けず虐殺したことも。

だからこそ、憲法を守り、戦争になる可能性をゼロにするため闘ってる。

戦争をしたいために、恒久平和を貫くために、国民一人ひとりが憲法を理解し、守って行く必要があると思う。
yuuki

yuukiの感想・評価

3.8
鑑賞日翌日、高江に米軍の大型ヘリが墜落した。

前日に鑑賞した私にとって、とてもホットな話題になった。
現地の人からすれば、これが日常。
いつだってリアルタイムなのだと改めて。
nb

nbの感想・評価

3.7
ふるさと沖縄の基地問題が
いかに不条理なものなのか。
行政は誰のためのものなのか。

それに正面から向き合わないといけないのは他でもなく僕ら世代のうちなーちゅなんだろうな。
AS

ASの感想・評価

4.4
日本人同士の闘争になっているという構図。お互い違った場所で出会っていれば、酒を飲みながら楽しく語り合う仲になっていたのかもしれない。ふとそんな事を考えると胸が張り裂けそうになる
鑑賞前に
はすみとしこの「そうだ難民しよう!」と「座り込みをやっている人は県外からの雇われや在日。辺野古住民はデモ隊に迷惑してる。」という記事を読んでいたので最初は少し冷めた気持ちでいました。

しかし住人達の姿を見れば、傍観していられなくなくなります。彼らは地に足がついた生活をしていて、筋の通った事を言っていました。自衛の為に基地を作ることも正しいけれど戦争をする世の中の流れに乗らないことはもっと正しい事なのです。

官僚制に従って良いのか?警察の青年らの虚ろな表情が印象的でした。同世代の若者として、何が道理で自分は何を出来るかを考えたいです。
有識者によっても意見が異なるのだから、とても難しい議題なんですね...。目先の国防ではなく根本的な平和について、誰もが納得する考え方はないのかな。

私なんかが知ることのできる事は限られているけれど...様々な人の意見を知り、多面的に考えていきたいと思います。
daisak

daisakの感想・評価

3.5
「自分には関係ないこと」「中国への抑止力としての武力は必要」「もともとある基地が一つ増えるだけでどうしてあんな抵抗するの?」「今の時代に座り込みなんて、なんだか滑稽だ」2年前に職場の研修旅行で高江に行くまでは、普通にそう思っていたし、沖縄の歴史や、今起こっていることにすらあまり関心がなかった自分。あの時キャンプシュワブで穏やかに話してくださった座り込みを続ける方達の生の声を聴くまでは。
「座り込みをしたって結局はダメなのかもしれない、しかし、自分というひとりの人間が抵抗したという事実は残る。」
ドキュメンタリーならではの鬼気迫る眼差しや空気感。
沖縄の人達の問題ではなく、皆の問題だと気づくと思うし、一度知ってしまうと、もう無関心ではいられなくなる。
「今はまだ何処かで生きている最初の戦死者Aくんは、僕の兄弟かもしれない、君の好きな人かもしれない、あなたの息子かもしれない」高江で七尾旅人が歌う「兵士Aの歌」には胸を打たれた。
冒頭で、米兵に暴行を受け亡くなった20歳の女性の追悼集会で古謝美佐子さんの歌う童神も大好きな歌だけど、虐げ続けられてきた沖縄の人達の哀しみや怒りの歌だとは知らなかった。
サラ

サラの感想・評価

4.0
沖縄から旅行に来ている女性に勧めてもらって鑑賞。衝撃だった。
闘ってる人が実際にあんなにいる。
リアルなドキュメンタリーで、観たことで自分の政治感が変わったと思う。TVで毎日見るのは、安倍政治の話ばかりだけど、ニュースにはならない沖縄でも大切な大切な命を守るために声を上げて、闘ってる人がいる。知らなくて、悲しかった。

タイトルの標的の島。沖縄は標的にされてしまったの...沖縄を返して!と叫ぶ女性の姿。無暴力を貫いて抵抗を続けている島の人々。私は沖縄に行って一緒に闘うことは出来ないけど、来るだけ多くの人に見て欲しい。知って欲しい。沖縄ではこんなことが起こってるんだって。

映画観たよと、この映画を勧めてくれた彼女に会いに行こう。
いの

いのの感想・評価

-
世界は複雑で、難しい問題はよくわからない。自分自身のことだってよくわかっていないし。そんなアタシでも、沖縄のことはどうしても“他人事”にはしたくない。沖縄を思うことは、アタシにとって、“アタシの良心”の最後の砦である。沖縄と共に生きたいと思っている。沖縄を思うことで、アタシはどうにか立っていられる。

この映画がドキュメンタリー映画として優れているのかどうかは、正直言ってよくわからない。でも、アタシは評論家になんてなりたくないし、訳知り顔で語る人間にもなりたくない。アタシにわかるのは、三上監督の前作品『戦場ぬ止み』に出てきた人たちが、今もアタシの心の中で生き続けているように、今回の作品に出てくる人たちも、心の中で一緒に生きていくだろうということである。私はあなたで、あなたは私だ。機動隊の若者に対しても、ぎゅっと抱きしめて、“泣きたいなら泣いてもいいんだよ”とささやきたくなるような、そう思えるようなラストであった。
あゆみ

あゆみの感想・評価

4.5
「座り込みなんかして意味があるのか?」そう尋ねた若者に、一人のおばあが答えた。
『この時代に、自分という一人の人間が、確かに反対したという事実は残る』

「静かに暮らしたい」「子どもたちのために安心して暮らせる社会を作りたい」
沖縄に住む人たちは、そんな当たり前を望むことすら許されないのか?
この映画が映し出す現実の中には、民主主義のかけらもない。県民同士に対立を強いる、国のえげつなさが辛い。

-1945年、沖縄に10万人の日本軍が来た。沖縄県民は歓迎した。10万人も来てくれたら安心だ。日本軍が守ってくれる。助けてくれる。
-しかし、日本軍は日本軍しか守らなかった。12万人の沖縄県民が亡くなった。
沖縄は、その記憶を、教訓を、決して忘れない。だから戦争に繋がるものには断固として反対する。

そのメッセージがあまりに痛切で、重苦しくて、だけど巨大な権力を持つ国を前に、個人の無力さを思うとことばが出なかった。

どう咀嚼すればいいのかわからぬまま一週間。ふと『砂漠』を思い出した。
「どこかで戦争が起きてもね、まあ、しょうがないんじゃねえの、なんて言って、遠くで誰かが死んでもお構いなしですよ。見えないものは痛くない、の理屈でね、俺には関係ねえよ、の大合唱だ」
「そうやって、賢いフリをして、何が楽しいんですか。この国の大半の人間たちはね、馬鹿を見ることを恐れて、何にもしないじゃないですか。馬鹿を見ることを死ぬほど恐れてる、馬鹿ばっかりですよ」
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