デジタルリマスター版と感想同じです。

一本観たら、もう一本も観ないとということで、グレッグ・アラキ作品を連続鑑賞。
相変わらずのB級ぶりで安心。とても何が撮りたいのかよくわからないけど、楽しめました。
なんで今頃この監督をクローズアップしたのかよくわからないけど、こういう機会がないと絶対観ない映画だったなぁ。

パーティとドラッグとSEXしか興味がなく、バービーの世界のように着飾ったティーンエイジャー達が騒ぎまくる群像劇。

若いんだから欲望のままに生きなきゃ！と性別も肌の色もカンケイなく愛し合う。

そんな中で、レイプされたり、ヤクに溺れたりして、TVのカルト集団へのお誘い番組を見ながら自ら命を絶つ若者も。
でも死に方はめちゃ派手。

宇宙人に拉致され帰ってきたけど、爆発してGに変身する男の子には笑った。
全てはクスリによる幻覚か。

今回も、お盛んなガールフレンドに心を痛めるというダーク役に、グレッグ・アラキ監督のミューズ、ジェームズ・デュバルが切なく演じている。

ほとんどの出演シーンがヤってるだけの若きライアン・フィリップ。ミルクチョコまみれの口もとは、さすがにドン引きだった。

みんな親と同居なので、子供部屋がそれぞれポップで凝ってる。
お約束の、誰でも窓から出入りするその窓が、まるでファンタジーの世界への入り口みたいになってて面白かった。

監督はあくまでも、異性愛はグロテスクに、同性愛は甘酸っぱく描きたいんでしょうかね。
あぁ疲れた‥。

90年代終わり、どん詰まりの若者群像劇。緩やかに漂う終末論、ドラッグにセックス、むだ話と変態とビデオアート。当然世界は終わらないが未来はなし、これからもなにもない。自殺したりふられたり宇宙人にさらわれたり、性別も肌の色も関係なくすべてが同じ価値観で愛し愛され、それはつまり激しい暴力も不条理な哀しみもなにもかもが誰にとっても平等なわけで、ようやく真に愛する人と巡り合えたとしてもカフカよろしくそいつはグロテスクな虫に変化して去っていかれたりもするドラッグでラリった果ての悪夢＝それが現実。
青年がシャワーを浴びながら自慰行為して、役者名のクレジットが画面をうようよと彷徨う(まるで精子のように)オープニングから最高。大好きなマイク・ケリーの映像作品に繋げたくなるチープでカオスな画と死。俺が偏愛している荒木師匠の映画。今さら掘り起こして欲しくはないが、流すならシネロマン池袋で特集上映して。