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the moment/ザ・モーメントの作品紹介

the moment/ザ・モーメントのあらすじ

「スターの賞味期限を延ばすには‥?」 音楽、ファッションのジャンルを超越した“時代のアイコン”・チャーリーxcx が暴く<笑えるほど波乱な ショービジネスの裏側>。 2024 年、アルバム「brat(ブラット)」で世界を熱狂させ、“ブラット・サマー”と呼ばれる社会現象を巻き起こした、ポップスター・チャーリーxcx。大胆で媚びない彼女は、日々自分らしさを追い求めていた。ところが、マネージャーや SNS 担当、音楽レーベルは、「ブラット・サマー・フォーエバー」を合言葉に、このムーブメントを、無理やり延命させようとする。やがて Amazon を出資につけた「ブラット」のライブ映像配信のプロジェクトが始動。突如現れたライブの演出家は、チャーリーの表現に理解を示さず、ティンカーベルのような衣装を着させ天井から吊るす演出を提案。炎の演出など派手な仕掛けを次々と重ね、彼女を“ベタなスター像”へと押し込めていく…。一方音楽レーベルは、「brat」の文字があしらったクレジットカードの大規模キャンペーンを画策。 多忙を極めたチャーリーは、ライブまであと数日というタイミングで、イビサ島へバカンスに行ってしまい、いよいよ現場はパニックに…。

the moment/ザ・モーメントの監督

エイダン・ザミリ

原題
The Moment
製作年
2026年
製作国・地域
アメリカイギリス
上映時間
103分
ジャンル
ドラマコメディスリラー
配給会社
ハピネットファントム・スタジオ

『the moment/ザ・モーメント』に投稿された感想・評価

kuu
3.7
『the moment ザ・モーメント』
原題または英題 The Moment
製作年 2026年、上映時間 103分。
映倫区分 G 製作国 アメリカ

世界的ミュージシャンのチャーリー・XCXの発案で、本人が主演を務め、トップスターと業界人たちが巻き起こす波乱に満ちたショービジネスの裏側を描いた作品。
緑色の熱狂が世界を塗りつぶしたあの季節の直後、ポップスターの脳内で何が起きていたのか。

今作品は、現実の狂乱をそのまま燃料にして、過熱する現代の消費社会を冷徹にハックした極上のメタ・シネマでした。
メガホンを取ったのは、主演のチャーリーXCX自身と数々の前衛的なMVでタッグを組んできた映像作家エイダン・ザミリ。
映画の仕掛け人であるチャーリーがここで演じるのは、彼女自身のパブリックイメージをデフォルメし、不安と虚栄心で肥大化させた『最悪のバージョンの私』。
世界的な社会現象となったアルバムの熱狂が、アーティスト個人のキャパシティを遙かに超えてビジネスとして自走し始める恐怖。
それを映画という枠組みを使って自嘲気味に、しかし極めて計算高くエンターテインメントへと昇華させてました。
 
キャストの布陣も、エンタメ業界の生態系をパロディ化するために完璧に配置されてて、チャーリーの周囲を取り囲むのは、アーティストを記号としてしか見ない大人たち。
ロザンナ・アークエットが傲慢なレコード会社の重役を怪演し、アレクサンダー・スカルスガルドがポップスターをモノのように搾取しようとする鼻持ちならない映画監督役として、強烈なヴィランの存在感を放っています。
さらに、カメオ出演するカイリー・ジェンナーが、世間があなたに飽き始めたら、もっと過激に攻めるのよと虚無を湛えた目でアドバイスを送るシーンなど、現代のインフルエンサー文化の頂点にいる人間だからこそ云える皮肉が、今作品のリアルな痛みを加速させている。
音楽は盟友A. G. クックが担当し、過剰な広告やSNSのタイムラインに埋没していく精神のディストピアを、ハイパーポップ以降の不穏な電子音響で冷徹に描き出した。
 
今作品は、ポップスターが社会現象を巻き起こした際に直面する熱狂の消費期限とか、商業主義の狂騒を強烈な皮肉とユーモアで描いたメタ・コメディ。
アルバム『Brat』の大ヒットによる狂乱の只中で、その一過性のブームを少しでも長引かせようとするレコード会社や関係者たちに主人公が翻弄される姿は、笑える一方で生々しい。
世間からの売れ続けることへのプレッシャーや、アーティストを単なる利益を生むコンテンツとして消費しようとする構造に対する批判は、今作品のテーマかな。
ただ、風刺がやや極端で内輪ネタに感じられるし、商業主義への反逆を描きながら、結局はチャーリー自身のブランディングの一環になってるんじゃないかといったネガティブな面も否めないし、他者からの期待に応えようと自分を見失っていく姿や、痛烈な業界批判ゆえに観る人を選ぶ作風であることも事実。
しかし、これらのネガティブなとこや、商業主義のグロテスクさを描ききっていることこそが、この映画の最大のポジティブな意義やと小生は感じました。

今作品は単なる業界の暴露や自虐に留まってなく、商業的な波に飲み込まれながらも、本当の自分とは何か?私は何を表現したいのか?という根源的な問いに主人公が立ち返っていくプロセスこそが美しい。
映画の終盤、一過性のブーム(モーメント)の虚飾を自ら葬り去るような結末には、一種の清々しさがあり、熱狂や消費のサイクルはいつか必ず終わる。
しかし、それらが消え去った後に残る本当の表現への情熱や自分自身を愛する勇気は決して失われることはない。
今作品は消耗されることへの恐怖をただ嘆くのではなく、それを笑い飛ばし、次に進むためのエネルギーへと昇華させる力を与えてはくれた。
狂騒の夏が終わったあとも、人生は続いていく。
商業主義の波を逆手にとり、自分自身の手で新しい一歩を踏み出す主人公の姿に、表現を志す者だけでなく、何かに追われるように生きる小生も、大きな勇気とポジティブなインスピレーションをもらえる作品でした。
 
ショービジネスの視点から今作品を眺めるなら、これは単に業界のシステムに搾取される哀れな歌姫の物語ではなく、むしろ、その搾取の構造そのものを映画のコンテンツとしてA24というブランドを巻き込んでパッケージングし、世界に再出荷してみせるという、極めて高度で現代的なマネタイズの曲芸かな。
すべての批判やネガティブな評価さえも、最初からシナリオの一部として織り込み済みなんかな。
スクリーンの中にアイドルの苦悩や崩壊を見て涙するが、それ自体が完璧にコントロールされた、365日休みなく回り続けるポップアイコンの延命戦略にほかならない。
この徹底した冷徹さと、それをエンタメとして成立させてしまう強かさに、現代のエンターテインメントビジネスが到達した新たなフェーズの狂気を感じずにはいらません。


あらすじ・キャスト。
2024年、アルバム「brat(ブラット)」で世界を熱狂させ、「ブラット・サマー」と呼ばれる社会現象を巻き起こして一躍時代のアイコンとなったポップスターのチャーリー・XCX。大胆で媚びない彼女は、日々自分らしさを追い求めていた。しかし、音楽レーベルやマネージャー、SNS担当者は「ブラット・サマー・フォーエバー」を合言葉に、ムーブメントを無理やり延命させようとし、Amazonの出資も背景にライブ演出やプロモーションへ介入。チャーリーをベタベタなスター像へと押し込めていく。多忙を極めたチャーリーは、ライブまであと数日というタイミングでイビサ島へバカンスに出てしまい、現場は混乱を極めていく。

監督はビリー・アイリッシュなどのミュージックビデオを手がけるエイダン・ザミリ。共演にはアレクサンダー・スカルスガルド、ロザンナ・アークエット、カイリー・ジェンナーらが名を連ねる。
ゆき
4.0
#2026-078🪪💚

Johannes Godwin:BRAT! SUMMER! FOREVER!

【トリビア(ネタバレなし)】

・本作は2026年1月30日に公開された、2AM、Studio365、Good Worldが制作、A24配給(イギリスではUniversal Pictures、日本ではハピネットファントムスタジオ配給)のイギリス・アメリカ映画である。日本での公開は2026年6月5日。

・本作は実在するアーティストCharli XCXが、実際に2024年に発売された音楽アルバム「BRAT」がヒットし、実際に欧米で発生したムーブメント「Brat Summer」を題材としている。

・本作では、2024年にCharli XCXが出した音楽アルバム「BRAT」のヒットにより「Brat Summer」と呼ばれるムーブメントが起こっている。Brat Summerは実際に起こったムーブメントである。2024年の6月7日にアルバム「BRAT」が発売されると、特徴的なライムグリーンのジャケットがミームとなり、SMSのTikTokやInstagramで「Brat Summer」という言葉が爆発的に拡散、ファッションやライフスタイルの流行語となった。Charli XCXが米大統領選挙に立候補したKamala Harrisについて「Kamala IS brat」とTwitterに投稿したことが話題になるほどだった。
 
・BRATは「生意気な子供」「手のかかる子供」「わがままな子供」などを指すネガティブなスラングである。
 しかしCharli XCXは発表した同名のアルバムではこのBRATを「You’re just that girl who is a little messy and likes to party and maybe says some dumb things sometimes.(ちょっと散らかっていて、パーティー好きで、ときどきバカなことも言うような女の子)」 や「Who feels herself, but maybe also has a breakdown, but kind of parties through it.(自信満々なときもあるけど、時々メンタルが崩れることもある。それでも楽しみながら乗り切る。)」 、「It’s very honest, it’s very blunt, a little bit volatile.(すごく正直で、率直で、少し不安定。)」 と捉えていると語っている。
この発言により、現在ではポジティブな面も持つスラングして認識されている。

・本作の監督であるAidan Zamiriは、過去にCharli XCXの映像作品やMVを手掛けている。

・本作のポスターのタイトルや、本編における転換点においては、蛍光黄緑色でシンプルなフォントの文字が表示される。
 これはBRATの象徴的なデザインで、蛍光黄緑は「Brat green」と呼ばれており、安っぽく目に痛い配色となっている。

↓以下トリビア(ネタバレあり)↓

































【トリビア(ネタバレあり)】

・本作は2024年に実際に欧米で発生したムーブメント「Brat Summer」を題材としたフィクションである。

・本作の原案はCharli XCX本人である。本作の制作はレーベルから、Brat Summerにおけるライブツアーのドキュメンタリー制作を求められたことが発端として始まった。

・Charli XCXは音楽アルバム「BRAT」が人気になり「Brat Summer」というムーブメントが起こったが、それまでもヒットを飛ばす有名なアーティストである。
 2010年代前半から活動し、自身の楽曲だけでなく他アーティストへの楽曲提供やソングライターとしても高い評価を獲得した。代表曲には 「Boom Clap」「1999」「Speed Drive」などがあり、特に「Boom Clap」は世界的ヒットとなった。また、「I Love It」や「Fancy」ではソングライターやフィーチャリングアーティストとして成功を収め、革新的なポップアーティストとして確固たる地位を築いていた。

・本作冒頭、Charli XCXはトークショー番組に出演しているシーンがある。このトークショー番組の映像は実際のものではなく、本作のために撮影された映像である。
 番組はアメリカのCBSで放送されている「The Late Show with Stephen Colber」であり、司会のStephen Colber役は本人が演じている。
 またCharli XCXがBRAT Summerの2024年に同番組に出演したことはなく、本作のアメリカでの公開日の2026年1月30日の1週間前の2026年1月26日に出演した時が初めてとなった。

・本作序盤、Charli XCXがクラブで女性とツーショットを撮るシーンがある。彼女はイギリスの歌手、DJ、ラッパー、ソングライターであり、レコードレーベル兼音楽集団Nuxxeの共同代表/創設者のShygirlである。本人役として出演している。

・本作序盤、Charli XCXがクラブのトイレに行った際に、Rachel Sennottと話すシーンがある。Rachel Sennottは実在する人物で、本人が演じている。
 Rachel Sennottはアメリカのコメディ映画において有名な俳優/脚本家であり、Charli XCXが奮闘しているセレブ文化やポップカルチャーの過熱ぶりを象徴する1人である。

・本作序盤、Charli XCXが衣装決めの際にスタイリストと険悪な状態になるシーンがある。このスタイリストはポップカルチャー雑誌「Interview」の編集長でもあるMel Ottenbergであり、本人が演じている。

・本作序盤、Brat Summerとタイアップした Howard Stirling銀行が、クィア向けのクレジットカードの発行を開始する。これはフィクションであり、実際にはHoward Stirling銀行もクレジッカードも実在しない。
 ただし、本作のグッズとしてA24の公式サイトにおいて、クレジッカードが販売された。あくまでグッズであり決済機能などはないが、名前が刻印でき本物のクレジッカードのように見えるリアルなものだった。

・本作中盤、Charli XCXはイビサ島に休暇を取る。イビサ島は地中海にあるスペインの島であり、世界有数のリゾートとして知られている。

・本作中盤、Charli XCXはイビサ島でKylie Jennerと出会う。Kylie Jennerは実在する人物で、本人が演じている。
 Kylie Jennerはアメリカのセレブとして有名なKardashian/Jenner一族の1人であり、リアリティ番組「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」での出演や、SNSのインフルエンサーとして世界的な知名度を獲得し、自身のコスメブランドで巨額の成功を収めた実業家である。
 本作への出演は、Kylie Jenner自身の強い希望により実現した。なお本作が映画俳優としてのデビュー作である。

・本作中盤、Brat Simmerとチョコレート菓子の製品「KIT KAT」のタイアップの話が出てくるが、実際にはタイアップはしていない。

・本作中盤、映像監督のJohannes GodwinはCharli XCXが共産主義者ではないかと疑問を呈した際に「でもH&Mとはタイアップしている」と反論されているシーンがある。
 H&Mは世界的なファッション企業であり、いわゆる資本主義の中で活躍する大企業である。一方Charli XCXはインターネット時代が生んだ、既存とは異なる新しいポップスターであり、音楽アルバム「BRAT」は反体制的/クラブカルチャーを象徴している。
 つまり「反体制的・クラブカルチャーの象徴として売り出されたBRATが、実際には巨大レーベルに所属してブランド化され、マーケティング商品として大企業に消費されている」という皮肉となっている。
JIZE
3.6
華やかなショービジネスの裏側を暴くドラマでアルバムの大ヒットにより一躍時代の寵児となったポップスターとブームを引き延ばそうとする業界関係者たちとのすれ違いを描く。業界の狂気と毒を盛り込むA24製作のモキュメンタリー健在。現代ポップスターの「成功の代償」の風刺。「The Moment(頂点の瞬間)」で味わう孤独・期待の重圧・アイデンティティの喪失・業界の搾取構造をリアルに抉る。メタ的に扱った自己言及度がたかい。また 「本物」と「演出」の境界線が作品の命題でもありモキュメンタリーだからこそのその二面性が秀でる。エイダン・ザミリ監督による現代の若者文化や成功神話への痛烈な批評が込められていた。

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