犯人は誰だ！？

多分あいつだ


「絶対」ではなく「おそらく」とまでしか言えない、どう甘く見積もってもこれが限界

サイコスプラッターに最後まで煙に巻かれ、出し抜かれる元祖猟奇的韓国映画

ハン・ソッキュとシム・ウナの「八月のクリスマス」に続く共演作。

但し、本作は切ないラブストーリーとは大きく異なる本格派サイコスリラー。

90年代の韓国映画界のこのジャンルでここまでクオリティの高い作品が製作されていた事に驚き。

冒頭の人体解剖シーンの内臓や、発見される生首等が結構リアルで美術・小道具のレベルも高い。

ストーリー展開、演出も丁寧だし、本筋には関係ない自動車の衝突事故などアクションシーン、ハン・ソッキュ演じる刑事の悪夢に登場するエレベータ-のシーンも凝っており、大作として世に送り出したスタッフの意気込みは十分に伝わる。

降りしきる雨、映像から湿度が伝わるような薄暗い部屋、静まりかえった夜の昔の韓国の面影が残る住宅街を印象的に切り取ったカメラワークも素晴らしい。

終盤のクライマックス、ソウルのスターバックスのシーンも好きだが、よくもまあ撮影許可が下りたもんだな。

猟奇連続殺人事件の犯人の正体は、“一応”視聴者には分かる作り。但し、動機、そして何故バラバラ死体に？？といった疑問点は数多く残る。

今回レンタルDVDで鑑賞したが特典映像の監督インタビューで「あえてそういう作りにしてある。6回は鑑賞しないと分からない」と断言しており確信犯。気になったら考察サイトを見るのがお勧め。

それよりも、多くのレビュアーさんがフィンチャーの「セブン」を挙げられているが、個人的には登場人物の関係性やストーリー自体がポール・バーホーヴェン監督の大ヒット作「氷の微笑」に酷似していると思った。

謎めいた美女に惹かれる孤独な刑事、刑事の仲間、美女の親友のどこかマニッシュな女性・・。中盤の古びたアパートでの殺人シーン。その襲撃者の描写なんて「氷の微笑」のエレベーターシーンに酷似。何よりも、真犯人を明確には視聴者には分からせない謎を残す結末。絶対、本作のチャン・ユニョン監督は意識してるだろうな。

「箪笥」での役どころが自分には強烈な印象があるヨム・ジョンア。最近の出演作「密輸 1970」でも面影そのままで、流石は元ミス・コリアの美貌。

久々にじめーっとした暗いアジア特有の雰囲気を味わえて、かつサスペンスと生々しい感じが合っていて最高でした！

簡単な内容は、被害者の身体が切断され、その一部が紛失しているという事件がソウルで連続して起こり、捜査を進めるチョ刑事は、被害者とかつて交際していた美しい女性スヨンへと行き着いた。自分の過去を喋ろうとはしない彼女に接近していくチョは、やがて悪夢のような真実を知ることに。。。というような内容でした。

メモ帳にTSUTAYAとかでしか借りれないような作品をたくさんメモしていて、今作もそのメモの中に入っていてクリップもしていて観たかったところに探したらあったので観ることにしました！

結局どうだったの？？やあのシーンの足跡は？とか深いところまでの謎はしっかりと消化しきれなかった感じはあるけど、やっぱりこういう時代特有のアジア感があるじめーっとしたサスペンスは本当に大好きです！なんて言ったって生々しさが倍増するんですよ！それが良いですよね〜。

結構グロいの苦手な人からするとうわっていうシーンが多々あるような感じもしたけど、こういうサスペンス系には必須だなって思いましたね。そこでより事件性をリアルに感じられるし、犯人がどういう経緯なのかを観てる側も一緒に考えることができるのでとても良かったです！

多分1回観ただけでは納得がいがないと思うし、どこかにモヤモヤが残った状態で終わっちゃう感じだと思うので何回か観て深める必要があるのかなって思いました。けど、内容が内容なので何回も観るのは気持ち的に楽な日がいいですね笑。

やっぱり韓国映画はこうでなくちゃというような作品だったし、生々しさでいったら最高な作品だったと思います！見応えは十分でした！

• #2022年鑑賞［yuu］