完全にイカれて勢いで4点つけようと思ったが、冷静になって真剣に見直して3.5にした。それでもとても良い映画だと思う。黒沢清より図々しくて堀禎一より無邪気。黒沢清と堀禎一を結ぶ線は基本ないと思っているが、その間に鎮西尚一を挟むと一本の道が見えてくる。ミュージカルだけではなく西部劇的な小屋への銃撃、天本英世の棺桶のくだりは怪奇映画で全体の括りはヴァカンス映画。ギョーム・ブラック『みんなのヴァカンス』に負けてねえぞおら。とにかくあらゆるジャンルを詰め込んだ闇鍋のごっこ遊びだが、それのどれもが言い訳がましくない、照れている暇がないというか、カッコつけていないのが良い。
天本英世の葬式で皆が集まるくだり、引き込まれた。広田レオナ筆頭に歌い出すのが素晴らしい。ヤりきってるから画になる。『ニンゲン合格』の葬式ぐらい好きだよ（というか、黒沢清はこれをやりたかったんだろ）。で、ラストは『恋恋風塵』冒頭の電車内の男女。トンネルの暗闇もちゃっかり頂いて。飄々とした大杉漣、歌いまくる加藤賢崇、自由な教師の加藤善博も当然最高。感想書いていたら4点でも良い気がしてきたな。

@発掘VHSシリーズ
・「人間が自転車を管理するのは間違っていると思う」なんて台詞が出てくるくらい自転車映画。
自転車に乗りながらの会話が突然２人が漕いでいた自転車が会話しながらそのまま海へ突入することで中断される。

・「手、繋いであげよっか？」→ビンタ→少女の目→月
動物を撃つときは素直な気持ちだ…→夜道の自転車→夜の海
ヤバすぎる繋ぎの数々。
少年少女の盗んだお酒のまわし飲み、そしてラッパ飲みの往復に普通に胸がしめつけられたりもした。

・「青春は闘争だ。俺はお前らをいっさい管理しない」からはじまるアナーキーなシーンの数々。クレーンからのダンスは『めぞん一刻』っぽかったな。こっちはそんなに死の香りはしない。

・無茶苦茶な繋ぎとか自転車に堀禎一を思い出したりもした。生前はポレポレで一緒に登壇していたみたいだし。河原の寝っ転がりながらの水浴びは結構まんまじゃない？

・『バタアシ金魚』よりも前の浅野忠信が見れる。

主役の女の子の圧倒的可愛さ。平成の『恋の大冒険』と言ったら褒めすぎだけど、そんな感じのノリの映画ではあった。校舎の前に止めたクレーン車に乗って歌うミュージカルは普通にアイディアとして凄いと思った。広田レオナはやっぱり最高！天本英世も癖強い感じで登場！

• #2020_kankan_boy