勝手にしやがれ!! 黄金計画の作品情報・感想・評価

勝手にしやがれ!! 黄金計画1996年製作の映画)

製作国:

上映時間:80分

ジャンル:

4.0

「勝手にしやがれ!! 黄金計画」に投稿された感想・評価

シネマQ

シネマQの感想・評価

5.0
最高に楽しい黒沢清。
黒沢清が映画の快楽に100%振り切るとこうなる。

このレビューはネタバレを含みます

宝を探しに行く前の幸せな瞬間とか森での追跡劇、歩きながらのあっち向いてホイとかめちゃくちゃ最高だった。自転車の二人乗りもあるし。
あと刑事がトラックに轢かれちゃうシーン。
ヒロイン、黒沢清の作品の中で一番魅力的かも。
OPから引き込まれる。ヒロインの可愛さ、森の中の運動など幸せな映画
宝探しというプロットと藤谷美紀及び悪役の人物造形が好きです。
シリーズ3作目。なぜかこれから観てしまいました。二人のコンビがはじけていて観てると元気になります。他のシリーズも観たいです。
中庭

中庭の感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

『ドッペルゲンガー』でも反復された、立ち人形とトラックによる乾いた轢死に息を飲む。背後から丁寧に射殺された諏訪太郎の身体の運動は、『シンドラーのリスト』でナチスにたて突いて無残に撃ち殺されたあの聡明な女性の死体の躍動感と重なるものがあった。
長回しで男たちによるポンコツな会話が続く中、藤谷美紀の底抜けに明るい歌声がセットの中を駆け回り、画面を豊かに揺らしてくれる。
黒沢清監督の「勝手にしやがれシリーズ」の第3作目。 

3作目から別オープニング。 
このシリーズは、黒沢清監督が著書で書いているとおり、「2本ずつまとめて撮っていた作品。1作目&2作目、次は3作目&4作目…というように。」なので、オープニングやセットが2作ずつペアになっている。 

相変わらず、ものすごくいいかげんなチンピラ2人(哀川翔と前田耕陽)が、これまたヘタレなヤクザ達と繰り広げるドタバタ劇が楽しい。 


一人の老人(天本英世)が老人ホームで亡くなるが、以前発生した3人組銀行強盗の1人だったらしく、盗んだ5千万円を持ち逃げしていたようである。 
その金を追っている他2人の強盗仲間や刑事などが、5千万円のありかを巡って攻防を繰り広げる物語。 

途中、刑事をチンピラ2人(哀川翔と前田耕陽)が、地面に埋めてしまって、「地中から銃を持った手首が出ている場面」はなかなかシュールで面白い。
紫色部

紫色部の感想・評価

4.0
2018.1.18 DVD

拠り所のない多幸感にただただ打ちのめされる。風に靡き空に放たれるための風船、藤谷美紀が滑り降りる公園の滑り台、荷物の倒壊、大杉漣の不思議な踊り、追う/追われる関係の逆転と反復の横移動、何の予兆もなく現れるトラック、階段…
1作目から少しずつ追っかけてるけど一番出鱈目!
特に、藤谷美紀がペンチを探しながら出ていきたくなる場面、発砲刑事が幽霊のようになる場面など心の流れが追えない場面が多い。
特に刑事はガムテープを全身に付けながら復活する場面とか、「甦る」演技が多い。モロにモンスター映画の文法。その死に際の一言とか、滅茶苦茶面白い!
ヒロインの滅茶苦茶な動線とか、愉しいなぁ黒沢清!
netfilms

netfilmsの感想・評価

4.2
 七輪の網の上に置かれた秋刀魚、炊きたてのご飯、ちゃぶ台に置かれたビールをくいっと飲み干す雄次(哀川翔)を耕作(前田耕陽)がいつものママチャリで迎えに来る。2人は河岸を疾走し、街の方へ。手配師の由美子(洞口依子)から、ある老人を捜し出してほしいという依頼を受けた雄次と耕作は、難無くその老人・波多野(天本英世)を見つけ出すが、逃亡を試みた波多野は心不全で急死してしまう。依頼主の西(諏訪太朗)と猫島(三上剛史)は激怒し、雄次と耕作は調査費を貰い損ねた。しかし、波多野がいた老人ホームから彼の遺品を引き取ってくれとの連絡を受けた雄次は、年代もののワーゲンを手に入れ、すっかり気に入った様子だった。そこへ、車を返せという波多野の孫娘・律子(藤谷美紀)が現れる。耕作と仲良くなった律子はふたりのそばをウロチョロしだすが、彼女には他人の物を勝手に売ってしまう困った癖があることがわかり、雄次は次第に彼女を煙たく思いはじめた。数日後、西と猫島が今度は20万円で律子捜しを依頼してきた。しかし、律子が波多野老人から宝の地図を預かっていること、波多野老人が10年前の5000万円強奪事件の犯人のひとりであることなどを知った雄次と耕作は、逆に事件の共犯者である西と猫島をゆすることを計画する。しかし、西と猫島が別件で逮捕されたことから、5000万円を巡る事態は警察も加わった三つ巴の強奪合戦へと発展する。

  哀川翔と前田耕陽の凸凹コンビの珍道中を描いたVシネマ『勝手にしやがれ!!』シリーズ第三弾。雄次は住みなれた部屋を引っ越すが、2人の関係性は変わらない。今作では律子が赤いワーゲンを取り返しに訪れたところから、宝探しの三つ巴のゲームが幕を開ける。律子、雄次と耕作の2人っきりの場面には互いの差異が強烈に現れている。哀川翔と彼女の2人っきりの場面では、19歳の構ってほしい年頃の少女に対して、まるで彼女がそこにいないかのように、車の修理に黙々と励む哀川翔の姿を長回しで切り取る。床に寝そべっている藤谷美紀が、哀川翔の動きに対し、触れるか触れないかスレスレのアクションを見せるものの、哀川はそんな彼女の姿を気にも留めていない。その姿に耐えられなかったのか、彼女は哀川翔のアジトを無言で出て行く。一方、前田耕陽と藤谷美紀の2人っきりの場面では、哀川翔よりもダイレクトに想いを伝える前田耕陽の姿が、実に意外に映る。あらゆることを一緒に体験したいという彼女に対し、前田耕陽の物言いは、実にストレートで官能的な愛情に満ちている。5000万円見つけたら、ジャマイカのスタジオでレコーディングしたいと夢をあっけらかんと口にする藤谷美紀は、哀川翔のアジトでオリジナルのピクニック・ソングを高らかに歌う。今作は黒沢清久しぶりの「歌う映画」としての側面も持つ。

 今作における物語の終着地点も、宝のありかに設定される。そこにむらがる男たちは、諏訪太朗と三上剛史だけではなく、汚職警官である大鷹明良をも巻き込み、華麗な「追いかけっこ」の火蓋が切って落とされる。各々の人物たちの行動は極端にディフォルメされ、森の中の「追いかけっこ」は苛烈を極める。ここで追われる側が急に追う側に転じ、逆に追う側が追われる側に転じる様子が実に滑稽でおかしい。丸腰の主人公たちは、このような形でしか抵抗する術がない。そのお遊戯的なアクションが、まるで『893タクシー』の時のように、実に痛快な映画的快楽に満ちている。
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