たにたに

スパルタカスのたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

スパルタカス(1960年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

【見事な隊列】2022年153本目

スタンリーキューブリック31歳時の作品。
3時間超の歴史長編大作。

奴隷出身のスパルタカスが、他の奴隷や剣闘士らのリーダーとなって反乱軍を構え、ローマ貴族クラサスと戦う。

鎧や槍、剣、兜など小道具への予算のかけ方はおそらく桁違い。
驚くのが、エキストラの数と馬の数。
クラサス率いる帝国軍とスパルタカスが対立する場面では、帝国軍は見事なほどの隊列を組んで、完璧なまでにスパルタカス奴隷軍を叩きのめす。


奴隷時代から、倒れた人がいたら手を差し伸べるスパルタカスは、奴隷のリーダーとなることは必然的だった。
体質も恵まれ、剣闘士養成所に連れていかれ、めきめきと力を付けた彼は、魅力的な女性と出会い、運が良かったと言える。
リーダーの素質も抜群で、その扇動力と存在感はしっかりと描かれていた。

しかし、今作はスパルタカスの成長に終始することなく、元老院での閥族派と民衆派の対立にも視野を置き、政治的な駆け引きの面白さも味わえる。

結果的に、スパルタカス軍は大敗し、全員が磔にされ死を待つことになる。
スパルタカスが最後に磔にされ、息耐えそうなところに、自身の子供を抱えた妻が通りかかって、涙して寄り添う場面は、歴史劇としてのリアルを感じ取ることができる。

民衆派のグラッカスのような存在は、勢いをつける閥族派の勢いに押され収束するものの、裏で動いて重要な役割を果たす。こうした善の存在が我々歴史を陰ながら支えてきてくれたのかもしれない。
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