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水の中のナイフのRのレビュー・感想・評価

水の中のナイフ(1962年製作の映画)
4.6
我が最愛のポランスキー監督の!長編デビュー作は!既に傑作だった! を確認。久々に見てみた4回目。最も目立った特徴を述べますと、もんのすごいオシャレな映画であるてことです。ストーリーは、ある裕福なおっさんと若奥さんが、ヨットでのクルージングに向かう途中、ヒッチハイクしてるちょっぴり小生意気な青年を拾ってやって、いや、ボクはいいよ、と断る青年を無理矢理誘いこんで、3人でクルージングに出かけるというもの。海とヨットとたった3人の登場人物を、遠近を利用した多様なショットでカッコよく切り取った映像が、見てるだけで気分よくなるくらいオシャレで、しかもそこに、KOMEDAのロマンチックで甘く同時にクールでセクシーなジャズが流れる。しばらくは惚れ惚れと、オシャレで楽しいクルージングが楽しめるのだが、おっさんと若者のふたりが、何かといいカッコしいで、若者はナイフを出して指の間トントントントンやるファイブフィンガーフィレをして見せたり、歩いて旅するサバイバルを自慢げに語ったり。おっさんはおっさんで、キャプテン気取りで若者に偉そうに指示を出し、青年にできなセイリング技術を誇示したりする。くっだらない小競り合いで本気になって張り合って、カチンときてるふたりの横で、寡黙で涼しげに食べ物を出したり、飲み物を注いだりしてる奥さんクリスチナ。この奥さんの魅力がすごい! 眼鏡かけてて気難しそうで、地味な年増の女だな、と思いきや、メガネを外して髪を下ろして水着姿になると、一気にエロティックな色気を漂わせた妖婦と化す。実物を見てみたい! けど今や婆さんか幽霊だよね笑 そして、ヨット上での男同士の不和が少しずつエスカレートしていって、いよいよ喧嘩となり、ついに! と、すこーしずつスリリングに盛り上がっていく演出が、これまたオシャレ! ほんで、そっからの展開が、いいんですねー。夫婦という関係の不確かさをあぶり出し、若き男の未熟な性衝動と小心を描き、甘苦い虚しさの漂うエンディングを迎える。イイ! こんな名作から閉じられた空間におけるスリルやユーモアを描き続けるポランスキーのキャリアが始まったのかと考えると、何とステキな心持ちでしょう。今後も時折見るでしょう。
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