隊員が惚れた美女は実は宇宙人。
怪獣への態度の違いで対立。

ウルトラマンGはもともと全6話予定で、7話以降は後から追加されました。
そのため、放映版では、8話以降はタイトルが「新ウルトラマンG 必殺！怪獣大決戦」と改題されています。
劇場版2作目の本作は、基本的に７話以降の再編集版となっており、地球上に現れた様々な怪獣たちにUMAメンバーとウルトラマンGが立ち向かう内容となっています。

1作目同様、単純につなげたものではなく、一本の映画になるように編集されています。
1作目で除外された第４話も本作に組み込まれましたが、農薬によって突然変異した巨大バッタ「マジャバ」の登場する第8話、大気を浄化するためにバイオ開発された植物「バイオス」の登場する第9話、そして環境保護の狂信者ノルバーグが強奪し猛威を振るった「UF-0」登場の第11話はカットされています。
7話以降は環境保護をテーマとする作品が多いです。
最終話の登場怪獣も、人類文明に対する警鐘として出現した怪獣と倒す展開であり、最終的なウルトラマンGの全体的なテーマとして締めくくられます。
そういう意味で、8,9,11話も象徴的なストーリーなのですが、対象となった方のストーリーもまた、考えさせられる内容となっています。

一方で、6話まではゴーデス編と呼ばれ、地球に逃げ込んだゴーデス細胞との戦いという縦軸がしっかりしています。
7話以降は、一応、環境保護という共通テーマはありますが、登場怪獣は出現経緯も異なる個々の展開です。
対象を減らしたのは、ストーリーを並べるとまとまりがなくなってしまう懸念があったためなのだろうかと思いました。
また、個人的に第10話「異星人狂奏曲」は名作なので、劇場版に含まれているのはうれしかった。
異星人ベロニカに恋をしてしまったチャーリーが、必死で彼女を庇い、意図せず地球人と宇宙人の架け橋となる名脚本だと思います。

あいかわらず怪獣デザインも秀逸ですが、バトルは非常に弱いです。
ビーム中心の戦闘と、何もしていないのにひっくり返ってカラータイマーが点滅するのは本作も同じくです。
また、ストーリーはおもしろいのですが、最後も余韻がないとてもあっさりした終わり方です。
唐突な変身回数設定が現れ、戦いが終わるや否や何も言わずに去っていくため、最終話が思い出せないレベルです。
最終話では海から謎の円盤が発見され、UMAは怪獣との戦いよりもその文字の解読に集中するのですが、読めたところで怪獣の弱点が書かれていたわけでもなく、結局戦うことになります。
一度倒れたウルトラマンが、次に戦うときに勝利できた理由もわからず、色々とシナリオの粗が目立つ最終話でした。

ちなみにウルトラマンGのカラータイマーは三角形で、体の色も赤い部分以外はシルバーとなっています。
スーツもいつものウェットスーツではなく、繊維性ののっぺりしたスーツで、また、演者もスタイルのよい外国人のため、独特の出で立ちをしています。
日本のものよりもよりエイリアン感が高く、巨大なエイリアンであるウルトラマンが希望のヒーローとなって戦うというギャップはよかったです。
また、本作の登場怪獣も素晴らしいデザインで、ウルトラマンと対峙する姿は神話のような趣きを持ちます。
全体的にメッセージ性もあり、ストーリーはわかりやすくとても良かったと思います。

ちなみに、邦題の「怪獣撃滅作戦」が少しかっこ悪いんですよね。
原題は「Ultraman: The Battle for Earth」なのですが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。

こちらは後半7-13話迄の総集編。前半のレビューで書き忘れてましたがこのシリーズ音楽がやたらと格好良い。いまだに聴きかえすことがあるぐらい。

ラスボス怪獣は海底から出現したコダラーと宇宙から飛来したシラリーのタッグ。どちらもパペットのときはカッコいいのに着ぐるみになるともっさりした感じになるのはご愛嬌。


余談ですがこの映画、当時阪急三宮駅近くにあった小さな劇場(まだミニシアターなんて言葉はなかった)で観たんですが、そのちょっと前には若松孝二の映画(我に撃つ用意ありだったかな)かかってたんですよね。えらいギャップ。