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ウェディング・バンケットのryosukeのレビュー・感想・評価

ウェディング・バンケット(1993年製作の映画)
3.6
いかに相手のことを思っていようが、結局一方通行の暴力にしかなり得ないようなコミュニケーションを執拗に描いておりいたたまれなくなる。相手のことを思うことと、自分の幸福のために相手を利用することは区別できるのか。
言語の違いもコミュニケーション不全を助長する。
セクシャルマイノリティが感じるであろうしがらみや周囲の無神経な干渉も描かれる。母親は正直見ていて不快だし、親世代の「あるべき姿」(夫婦間に愛情が無いと分かってもあくまで孫が欲しいというような)への固執も醜悪に見えるが、これも世代間の価値観の断絶なのだろうな。
ラスト、それぞれが様々な思いを抱えつつ五人でアルバムを覗き込む姿は感慨深い。ラストカットの選び方のセンスも良。
拗れに拗れていく関係を描くストーリーは面白いのだが、イマイチ映像に魅力が感じられないし、印象的なショットも殆ど無い。病院の廊下での長回しのカメラワークがちょっと記憶に残る程度。
台湾ニューシネマの監督たちの特徴である、長回し中心で詩的、抒情的な画を期待していたのでそこはちょっと残念。
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