このレビューはネタバレを含みます
マンションの空き物件の一室を舞台にシャオカンとメイとアーロンが擦れ違うお話。劇伴一切なしセリフもほぼなし、3人が名乗ることすら一度ずつ。
孤独に溢れていながら、シャオカンが手首切ってセックスを覗く姿や、スイカにキス、腕立てなど、そのインパクトに笑ってしまう箇所も。
終盤にシャオカンがゲイであることに気付くと、笑えるようなものではなくなります。シャオカンが見せていた性の欲求の対象が、メイではなくアーロンだと気付いたのはキスシーンの直前。敏い人なら冒頭でゲイだと気付いたのかも。
明確には語られずとも、都会の日常における三者三様の孤独が描かれており、それが巧みに演出されていました。ベッドの下で揺れるスプリングと喘ぎ声というカットは心に突き刺さるようでした。また、いかにも耐え難い、それぞれの日常の描き方も卓越したものがありました。
日常に敗北するかの様子は、メイのラストカットに集約されていたようで、その孤独にこれ以上ない程の説得力が与えられていたと思いました。
孤独と日常という現代社会に通底するテーマを、一部屋をモチーフに見事に描き出した傑作でした。