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生きている画像
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『生きている画像』に投稿された感想・評価

◎隠れた名作 老画家の独身生活と愛すべき弟子達

1948年 新東宝製作 東宝配給 モノクロ 93分
スタンダード *ホワイトノイズあり

やはり、隠れた名作は、あるものだ。

いったい誰が『生きている画像』というタイトルから、この滋味にあふれた老芸術家の大きくて深い人間性と、欠点だらけなのに愛さずにはおれない弟子たちの涙を誘う交情のドラマを思い浮かべるだろうか。

多少なりとも、「芸術」に心を寄せ、「芸術家」の生き方に共感を覚える御仁には、迷わず本作を観ることを薦めたい。


【以下ネタバレ注意⚠️】







画壇の首座にありながら大家ぶらない飄人先生、演ずる大河内傳次郎の間違いなくベストアクトである。

何しろ敗戦3年後の古い映画だ。
ホワイトノイズは続くし、画面もボケ気味で不安定だ。

こういう作品こそ、4Kデジタルリマスターの修復を行って、多くの人々が観やすい形にして欲しいものだ。

さて、時代劇の名優として名高い大河内傳次郎だが、本作では、生涯独身を貫きながら飄々と生活を楽しむ老画家、飄人先生に完全になり切って、苦み走った丹下左膳の片鱗すら見せない。

劇中、画室に押しかけて来た美術誌記者に
「やはり奥様はいらっしゃらないんで?」
と念を押されると、
「いや、いるよ。これだ、《お菊さん》だ」
と、菊正宗の一升瓶を見せる。

この酒をこよなく愛し、舌も肥えて、無愛想な「寿司徳」の穴子の握りを賞美する飄人先生のモデルは、上越生まれの洋画家、牧野虎雄(1890-1946)だという。

*1 「牧野虎雄」で検索
ja.m.wikipedia.org/wiki/

*2 歴史が眠る多磨霊園 牧野虎雄
www6.plala.or.jp/guti/cemetery/PERSON/M/makino_t.html

*3 切りぬき美術館
新スクラップ・ギャラリー 金井美恵子
第21回 子供の領分と絵の空間
 青柳喜兵衛と小林猶治郎|2
[ 更新 ] 2019.07.26
webheibon.jp/newscrapgallery/284

*4 牧野虎雄が描く川村貞四郎との友情
【懐古館だより10号より】
古橋懐古館 2023年6月15日
furuhashikai.com/dayori10_makino1/

本作には、当然のごとく絵画作品が数多く登場するが、大久保作次郎ら名だたる画家たちに「美術考証」を担当してもらうとともに、牧野虎雄本人の遺作も「出品」されているようだ。

*5 新東宝データベース1947-1962
生きている画像
公開日 : 1948年10月12日公開
nipponeiga.com/shintoho/film/1948/19481012.php

飄人先生の無二の親友、大学教授の龍巻博士を古川ロッパ。
ちょび髭を生やして、いかにもそれらしい。
最愛の不出来の弟子「落選」田西麦太(笠智衆)と早逝した彫刻家のお嬢さん青貝美砂子(花井蘭子)の結婚式の祝辞は、飄人先生の後は龍巻が次ぐほどだ。
そのあとに二人してオカメひょっとこの神楽舞を踊るのが、流石に芸達者だけあって本寸法で素晴らしい。

飄人先生のすぐ下ぐらいの無監査の画家芒銀介を日本人離れした顔だち(って本当にドイツ人ハーフ)の江川宇礼雄(1902-70)。

酒癖も手癖も悪い、無頼の弟子南原豊を藤田進。

ひいきの寿司屋のはずが、先生に影響されてか、絵を描き始めて、一文の得にもならないと女房(清川虹子)にボヤかれながら、帝展に出品までした寿司徳を小津安二郎の『長谷紳士録』でもお馴染み河村黎吉。

こうした欠点だらけの弟子たちへの飄人先生の接し方は、人間関係論の教科書に載せたいほど素晴らしい。

どんな悪行(例えば金に換えるため自分の画をくすねるとか)をされても、決して怒ったり、叱ったりしない。

その弟子の身上と心情に思いを致し、それとなく本人にとって「いちばん有難い」方法で、支援したり、罪が及ばないようにしたりする。

飄々とばかりしているようで、多くの弟子たちに慕われるのは、こうした先生の心尽くしの「人たらし」ゆえだ。

芸術家は、不遇な時も多い。

いや不遇が続くあまり、人間としてダメになってしまう危機をいつもはらんでいる。

飄人先生は、それを分かって、遠回しに、相手の「かゆいところ」に手をまわす。
人間の弱点を知って、その痛みが増すような手は下さない。
真の「思いやり」とは何かを学ぶことが出来る。

田西と美砂子、まだ黒髪の壮年の笠智衆とうら若き花井蘭子の初々しい新婚所帯ぶりのシークエンスは、さすがに面映い。

それでも、「お稽古に行ってたことがあるのよ」と披露する江戸浄瑠璃は常磐津だろうか、かなりの長尺で、花井蘭子本人の唄だとすれば、その美声と本寸法の節回は一聴以上の値打ちがある。

そして、タイトルの『生きている画像』を絵解きしたラストシーンは、最近の恋愛ものの例に徴しても、あまりにも有り勝ちで減点対象かも知れない。

だが、その欠陥を認めてもなお、掬すべき滋味と慈愛に満ちた名作である。

《その他の参考》
*6 生きている画像
1948年10月12日公開、93分
 ※キャストに誤りあり、要注意
moviewalker.jp/mv28441/

*7 荻野洋一 映画等覚書ブログ
『生きている画像』 千葉泰樹
12/05/04 11:12
blog.goo.ne.jp/oginoyoichi/e/e3ca15a677c83dada24e8a672bae3176

*8 銀幕三昧 生きている画像 1948
2012年09月18日22:40
ginmaku1982.blog.fc2.com/blog-entry-36.html

*9 邦画(昭和初期)のおすすめ
【ネタバレ注意】映画「生きている画像」感想/評価/あらすじ|後悔しない人生とは、本当の楽しさの追求かも
2019.04.22
nihon-eiga.milliwalk.com/ikiteiru_gazo/

《上映館公式ページ》
シネヌーヴォ日本映画大回顧展
新東宝 映画まつり
 Preseted by 新東宝キネマノスタルジア
2024.7.6〜9.6 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/shintoho2024/shintoho2024sakuhin7.html
t
3.7
笠智衆演じる「落選の天才」画家と大河内傳次郎演じるその師匠の交流。人物に寄って行くカメラの動きと感動的なオーバーラップの使い方が印象的。
話の流れに対して師匠に徳がありすぎな感じがあるのと、笠智衆はこういう演技しっくり来ないなと思ったが、絵を産み出す事で救われて行く過程が良かった。
寿司屋のエピソード微笑ましい。
生前通夜やっちゃう寿司屋の河村黎吉のことばっかり記憶に残っていたけど、笠智衆サイコーだった。結婚を反対されて花井蘭子と佇む岩だらけの海岸のシーンなんだかすごい。結婚式でおかめひょっとこの芸してる傳次郎先生たちみんなにバカ受けだったのに並んで涙を流す新郎新婦のふたり。こっちも思わず泣いちゃうつの。40歳で15年入賞逃した笠智衆、てっぺん禿げのメイクしてたけどあの毛量じゃ現実味ゼロ。傳次郎先生んちの酒器やなんの実なのかタバコのパイプみたいなのとか、モノクロでよくみえないけど相当洒落てる。スタイリストがいい!絵に目覚めた黎吉が描いた清川虹子の絵欲しい。田西麦太(笠智衆)と蘭子が産んだ息子の名前は瓢太。蘭子の臨終にわざわざ硯持ってこさせてハラハラした。笠智衆より訛り激しい藤田進お前もがんばれー。

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