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ねらわれた学園のhorahukiのレビュー・感想・評価

ねらわれた学園(1981年製作の映画)
3.8
ねらわれた薬師丸ひろ子!

50〜60年代くらいの特撮感満載のコスプレ衣装を着た怪しいおじさんが、「俺、金星から来たんだ…」とか何とか怪しいことを言いつつ薬師丸ひろ子を夢の中までストーキングするという、完全に「事案」な学園SFホラー。

『HOUSE』に続いて、ホラーっぽいこちらもU-NEXTにあったので見てみました。フォローしてる方に教えていただいた通り、テーマ含めてめちゃくちゃ『ボディ・スナッチャー』で嬉しい驚き。『HOUSE』も『亡霊怪猫屋敷』+マリオバーヴァの『吸血鬼』だし、『可愛い悪魔』はそのまんま『悪い種子』だし、過去の傑作ホラーを採り入れて自分色に染め直すのが好きな監督だったんだろうなと思った。

『HOUSE』の時にはテーマ性に重きを置きすぎた当時の邦画へのカウンターとして、映像重視な『HOUSE』を撮ったとか語っていたけれど、今作ではテーマについてもしっかりと描きつつ、(少し大人しめだけど)大林監督らしい映像演出を盛り込んでいて面白かった。それと薬師丸ひろ子主演だから『HOUSE』の時ほど大胆なことはできなかったのだろうけど、フェチ満載なところも監督らしくて笑った🤣

冒頭にも書いたけれど、本作の設定自体が既に変態。(自称)金星から来たとかいうコスプレジジイが美少女に付き纏うとか頭おかしいし、コスプレジジイの衣装に一昔前の特撮感があるから、同じように一昔前の映画を自身の作品に取り込む監督自身を金星ジジイに投影してたのではないかと邪推しちゃう…😂

相変わらずパンツへのこだわりも前面に押し出していて、本作では階段下から覗きまくるという(ある意味)度肝を抜く映像が冒頭から挿入されるという変態仕様!本当は薬師丸ひろ子にやって欲しかったんだろうし、そう思うとねらわれたのは学園じゃなくて薬師丸ひろ子やったんやろうね🤣物語的にもそんな感じだし。どっちにしてもそんなオッサン目線の変態物語を少女漫画チックにやってのける監督の技量が凄いし、アルジェントと物凄く近いことをやってるように思った。本作は、ある意味では変化球『サスペリア』だし、変化球『フェノミナ』。

そして、ユーミンの『守ってあげたい』をバックに内と外の対比をレトロに見せるオープニングセンスから傑作の臭いがぷんぷんしてくる。モノクロの部屋内と描かれたカラフルな外の風景。その2つを線引きする「枠」が次第に強調されつつも、境目を頼りなげにしていく対比の浮き彫り。それでいて、外についても夕暮れと青空の混在という、こちらも境界を曖昧にしていく幻想的風景。

そのあたりがしっかりと物語の予兆として機能し、『ボディ・スナッチャー』的展開が提示する事柄に対する批判へと繋がっていく。そんなしっかり真面目なテーマを扱いつつも、遊び心全開な演出がサイコーに楽しい!酒かと思ったら麦茶は笑ったし、頭痛が痛いっていうのを初めて聞いた気がする😂
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