競争、ライバル、師、共同作業。
この時代に嘘つきはあまり存在せず、潔い。
古い映画だが、新しく感じるのは何故だろう。
やはり作り手も嘘をつかずに世に出したからかもしれない。

追悼、団時朗😢。まさかの急逝😢。
ある年代にとっては「帰ってきたウルトラマン」の郷隊員の勇姿が目に焼きついている。最近では舞台を中心に活躍されていたようですが、ドラマ「京都人の密かな愉しみ」でのヒースロー教授役が自分は好きでした。YouTubeで鑑賞できる若き草刈正雄との共演CMは格好良すぎます。

団次郎(デビュー時芸名)のデビュー作たる本作品を追悼の意を込めて鑑賞したが、五木寛之原作、舛田利雄監督の本作は、追悼の気持ちも吹き飛ぶ面白さだった！😆
サムネイルポスターは何だか希望と明るい雰囲気に満ちた青春映画っぽくて、団次郎も下段の♪音符の中にちんまり収まっているけど、実はポスターのど真ん中には、曲者佐藤慶と大御所芦田伸介を置いてもおかしくない、暗くてハードなストーリー😨。

渡哲也と牧紀子の情事の後のピロートークから始まる本作、その後、いきなりの牧の自殺、そして上司の佐藤慶が傷心の婚約者の渡哲也にビジネスの基本を叩き込み子飼いの部下として育成。やがて舞台は当時イケイケのレコード業界に移り、姉の自殺の真相を探る松原智恵子、流しの歌手としてデビューする水前寺清子、そして、やり手策士佐藤慶と「艶歌の竜」こと芦田伸介の男の闘いも絡む怒涛の展開🪖。僅か100分足らずの映画だけど、濃厚でスピーディな味付けで物語は突き進む。そんな中、松原智恵子の、それこそ別世界から来たような美貌には目を奪われる🥰。そして、とにかく佐藤慶😆！。冷徹な思考と行動力で動く彼の姿は、主役の渡も霞む凄まじさ。でもイケイケの昭和40年代だからこそ、こうした獰猛なビジネスマンがいたんだろうなぁ👿。水前寺清子の歌唱力も凄いけど、策士佐藤慶には敵わないっス😆
途中、デビュー間もない美川憲一の「柳ヶ瀬ブルース」とか、50年前の銀座とか、昭和ど真ん中にタイムスリップできる。そして最後は…水前寺清子と団次郎のシングル売り上げ50万枚突破競争と牧の自殺の真相が絡み、終幕へ突き進むのだった😃。
終幕近くは、升田監督の保守思想が出てきて、やや失速するけど、それでも面白い😆。

因みに団次郎は「バラの恋🌹」というデビュー曲で、まだ当時斬新なメディアミックスで売り出される新人歌手の役柄。長身でハンサムだけどワカメのようにクネクネ身体を揺らして歌う姿は、後年のMATの郷秀樹隊員としての勇姿とはまた違う魅力に満ちていました。合掌😌。

悪魔に魂を売り渡した権威主義者の佐藤慶に拾われる才能ないコピーライターの哲。金属音が混ざったような夜の波のシーン、これが海潮音？と勝手に解釈したい波と音からくる不吉な何かが要所要所で差し込まれる。自殺した牧さんの妹は松原智恵子。パッパヤパパーのお洒落なスキャットからは想像もつかない、レコード会社をめぐる演歌と流行ポップス対決。哲が試写室で観る、艶歌の竜こと芦田伸介のルポタージュ映画。ここだけでがっつり映画内映画になっているのもすごいけど、途中フィルムが切れて一旦インターミッション状態になるのもなんかすごい。コピーライターからコマソンで芽が出て新人歌手のディレクターにまで抜擢される哲。どこみてるのか視線も変だしクネクネした操り人形みたいな男前の団次郎さんの内面は一切描かれないが、芦田先生が育てる若干二十歳黒目がちのチーターはがっちり身の上の不幸から艶歌の本質を浮き彫りにしていく。とにかく艶歌、ということだ。芦田先生の弟子の青木義郎がカリメロヘアにマフラー巻いて真っ直ぐな役なのやたらと新鮮。大嫌いな艶歌についつい惹き寄せられてしまう哲。この重くどんよりした作品はなんなんだ。わたしなんかには到底総括できない。五木寛之×舛田利雄。