佐久間良子が大好きになる！超売れっ子芸者だけれども金の切れ目が縁の切れ目、とばかりに男に対しては超ドライ。一方お人好しの母、OLの妹(藤純子)の優柔不断な婚約者に対しては常にキレつつも愛を持って接している。こういう役が似合うのね。西村晃は登場から既に不穏なオーラを発しているし、山茶花究はやっぱりうますぎる。叱られながらも遊んじゃう男〜。カラー映像で見る祇園の朝が清々しい。藤純子スマイル×自転車！ラピュタのモーニングで観られて嬉しかった。

新藤兼人の脚本を得て、村山新治は吉村公三郎を超えたかどうかなど気にすることなく、自分のスタイルを貫いた。西村晃の無表情の怖さ、藤純子の清純さを際立たせ、佐久間良子は家族、家を護ろうとする顔と悪女のような顔を見せる。人物の性格を際立たせたことで、村山らしい刻印を残した。

田舎の街中でよく見る、年配者による自転車の独特な漕ぎ出し方はこの時代に端を発しているのかなと思った

これは当時の自転車が鉄製で、今よりも体重をかけて漕ぎ出さねばスピードが付かないからみたいな話を友人とした、あくまで仮説だが

そう考えると、今までは野暮ったいと思っていた年配者による自転車の乗り方も、合点がいくような気がして、冒頭から映画に引き込まれた

また、中盤、大通りに出た時の高度経済成長当時の街並みと、古い京の街並みの対比がよかった。60年代の街並み自体見られることが嬉しく、もしあのような街並みの中で誰かと会ったり別れたりできたなら、今よりももっとよく生きることができるんじゃないかと考えたりもした