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『叫』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.0
 東京湾岸地帯で“赤い服”を着た女の殺人死体が発見され、捜査に当たる事になったベテラン刑事・吉岡(役所広司)は同僚の宮路(伊原剛志)と共にに犯人を追いはじめた。同様の手口による殺人事件が相次ぎ、連続殺人事件として捜査が進められる中、吉岡はそれぞれの事件被害者の周辺に“自分の痕跡”を見つけ、「自分が犯人ではないか…」という思いに苛まれ始める。彼の疑心暗鬼は日に日に悪化し、宮地は吉岡を疑い始める。ここでは『CURE』の高部刑事のように、常に冷静沈着で現場叩き上げの凄腕刑事・吉岡がいる。彼は現場に急行し、殺人事件の痕跡となる物証を探るが、その過程で見覚えのあるボタンを見つける。部屋に戻って古いコートを探ると、コートのボタンはちぎれていた。その後警察の取り調べで、物的証拠とDNA反応とをコンピューターにかけると、照合率97%で出て来たのは、何と吉岡本人だった。ほどなくして第二の殺人が起こる。息子を注射器で殺した医師の殺人の手口は1件目の事件と酷似している。海水の水たまりに顔を無理矢理つけ、窒息させ殺すという残忍なものだが、加害者は1件目の事件とは直接関係ないことがわかる。それどころか同一手口の殺人が互いに無関係に別の地点で複数明らかになる。ここで事件の全容は『CURE』のように不気味に苛烈さを極め、主人公の刑事はやがて精神的に追い詰められる。

 やがて加害者のある共通点を見つけ出した吉岡刑事は、真相究明のため単独でその地を訪れる。世界の崩壊を実感として予期した吉岡刑事は、自分の恋人である仁村春江(小西真奈美)と共に、「ここではないどこか」へ旅に出ようとする。ここでも彼は無計画にどこか遠くとか海外かもしれないと嘯くのだが、彼女は黙ってその指令に従う。小西真奈美が演ずる吉岡刑事の恋人は最初から、物静かで聡明で彼に寄り添う人物として描写される。おそらく刑事である恋人のために、身の回りのことを手伝ってくれるこの女性は、彼の妻ではないが理想の女性である。女性は少し笑みを浮かべた後、静かに彼の部屋を立ち去る。また一方で、事件の捜査の心的ストレスで情緒不安定になる吉岡を、優しく包み込むような包容力を見せる。吉岡はこの女性の膝枕で横になり、彼女の身体をゆっくりと抱きしめ、そっと押し倒すが、どういうわけかその時の彼女の表情は満ち足りたようにも、この世のものではないようにも見え、はっとしてしまう。思えば冒頭から彼女が登場する場面には、決まって吉岡刑事以外の人間は出て来ない。2人で外で会う場面でも、明らかにその場所が東京のどこかであるにもかかわらず、背景には人っ子一人いないことに気付く。その推測はあながち間違いではないようで、吉岡刑事が「ここではないどこか」へ行こうとトランク一つで彼女を誘い、ある列車の駅に着いた時、そこが駅であるにもかかわらず、まったく人の気配がしないのである。

 対照的に、吉岡の周りは常に人で溢れている。事件の捜査中も人で溢れかえり、下手したらアリバイを聞かれさえする環境なのだが、春江と一緒の時だけはそこに誰一人介在してこない。ここで春江と聞いて重要なことを思い出す。それは『回路』の登場人物の中で、小雪扮する唐沢春江の存在である。間宮や吉岡と同様に、この名前が何らかの偶然に過ぎないのだとしても、黒沢の中である種の意図した傾向を示すキャラクターであることは間違いない。クライマックスの何もいないところを抱きしめる場面はリチャード・フライシャー『絞殺魔』への静かなオマージュに他ならない。核心に少し触れるが、役所広司は物語の最初から彼女の存在を受け入れていたのではないか。一見、ごく普通の猟奇殺人ものに見えた今作だが、15年前の忌まわしい過去が明らかになっただけで、事件は何一つ解決していないばかりか、有能な刑事がこの世から消えてしまう。彼女は最初からこの世ではないあの世に行ってしまった。その人間をこの世に留まらせ、どこか遠くへ行こうと役所広司は誘う。黒沢の語りは、『カリスマ』の頃のように実に難解で不明瞭である。
「CURE」に続き黒沢映画第2弾!

葉月里緒菜の幽霊が怖くは無いけど不気味な感じだったな。
メイク等や過剰演出無しでここまでホラーっぽく仕上げれた事に驚いたΣ(゚д゚lll)

全体の雰囲気は「CURE」とは違い明るい景色が多く余裕を持てたので怖いと思うところは少ないけど本当に恐ろしくしようと狙いがある所は緊張感が張りつめる( ゚д゚ )

幽霊がジリジリ寄ってくるのは怖い(着信アリにもあったよね?)

小西真奈美のファンになりそう(^Д^)
(膝枕羨ましいぞ!)
Yuya

Yuyaの感想・評価

2.7
ホントさ この監督が描く死者はいつだって 何故にこうも陰湿かつ無差別的にアグレッシブなんだろうか…生者サイドに救いも手立てもないし 時には落ち度すらないのにっ!って 出川ばりに"ワイッ?"って両手を上げたくもなるのよね
と文句のひとつも言いたくなっても この幻影と幻影が重なって 色濃く浮かぶ真相の映し方は 結構好きなんだなぁ
それにしても 葉月里緒奈の眼光と咆哮は ヤバいよヤバいよ…

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