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ロックンローラのbackpackerのレビュー・感想・評価

ロックンローラ(2008年製作の映画)
4.0
カット回数1282回。
スピーディーなカット割り、カットバック、クロスカッティング、てんこ盛りです。
ゆっくり再生ボタンを初めて使いました笑
2年ぶり再鑑賞です。


ワンツー、マンブルズ、ハンサム・ボブ。
3人はロンドン裏社会の掃き溜めに生息するチンピラである。
ある日、ワンツーとマンブルズは不動産業で一旗揚げようと、地域を仕切るマフィアのレニー・コールから金を借りる。
しかし、それは全てレニーの仕掛けた罠。
ワンツーとマンブルズは呆れるほど見事に仕掛けに嵌まり、莫大な借金を抱える。
ケツに火のついた2人は金を工面するため、女会計士ステラの提案した700万ユーロ強奪計画に二つ返事で乗る。

しかし、実はその金はステラの雇用主のロシアの富豪ユーリが、レニーとの取引決済用に用意したものだった。
さらに、ユーリがレニーに貸し出した絵画が盗まれてしまい、双方共にマズい状態に陥ってしまう。
そこに畳みかけるように、再度用意された700万の強奪が再びステラから提案される。
晴れてムショ入りを免れたハンサム・ボブも加え、3人はお粗末にも無計画のまま金を奪いに行くのだが……。


ガイ・リッチー監督、ずっとこういう映画撮ってて下さいお願いしますホントに。
『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』っぽさが復活し、彼らしさがようやく戻った今作。
目まぐるしいカット割りとスロー&ファーストを巧みに使い、テンポよくかつ緩急自在に話が進んでいきます。
カット回数が増えたのも、シーンを細かーく分割して多彩な方向からの撮影をしているからです。フラッシュバックカットみたくなっとります。

物語は
主人公のワンツーと周辺動向
ボスのレニーの傲慢さと腹心アーチーの苦悩
富豪ユーリのロマンティック邪智暴虐
この3つの視点が複雑に絡み合い、1つに集約していきます。
分割していながらそれぞれが付かず離れず影響していく、その手腕はお見事です。流石ガイ・リッチー監督ですね。

登場人物たちも濃い連中ばかりです。
ハンサム・ボブはゲイで、親友のワンツーに気があることを投獄直前にカミングアウト(ワンツー以外皆知ってた)。
絵画泥棒のジャンキーにしてロッカー、さらにはレニーの義理の息子であるジョニー。かなりクレイジー。
レニーの腹心アーチーはまさにできる悪人という感じで、カリスマ性がある実業家のようにも見えます。

そんな彼等の群像劇ですが、個人に焦点を当てる時間は短めです。ストーリー全体を引っ張っていくメインキャラが誰なのか、はっきりしません。地に足がついていないような、宙に浮いた状態です。
強いていうなら、ストーリーテラーでもあったアーチーなんでしょうか?
でも、全員ほぼ均等に出ていたし……。


しかしまあ、『ロック・ストック&(ry)』や『スナッチ』で見せつけたスタイリッシュな映画にかなり復帰したわけです。
やはり奥さんの影響が強かったんですかねぇ。いえ、これについてここでは触れない方がいいですね。いずれ『スウェプト・アウェイ』(また見るの面倒だな……)あたりをレビューするときにしましょう。
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