むぅ

007 ロシアより愛をこめて/007 危機一発のむぅのレビュー・感想・評価

3.8
「さすがにそれは引く」

何事にも"マリアージュ"というものはきっとある。
ワインに相性の良いフードがあるように、映画にも相性の良いシチュエーションというものはある。
その点から言うと、[スパイ映画]と[見知らぬ土地]や[食事シーン][密室となる乗り物]はワクワクする"マリアージュ"であると思う。
でもお酒も映画も楽しむことが大切、"マリアージュ"のルールに縛られる事はないのだ。
「赤ワインを」
一般的な"マリアージュ"から言うなら、ん?となるその言葉を聞いたジェームズ・ボンドが後からそれをオシャレに引用するシーンがあり、おぉ!となった。
それと同時に思う、私はスパイにはなれない。飲んでいる時にそんな細かい事は気にならない。
友人達とやっぱり餃子にはビールだよねと言いながら飲んでいて、
「まぁでも好きに飲めばいいよね!ショートケーキとビールだっていいのさ」
と言ったらひんしゅくを買った事を思い出した。

「さすがにそれは引く」


ジェームズ・ボンドとオリエント急行に乗っても、ウーロンハイってありますか?と聞きたくなるし、食後のデザートを頼むならもう一杯飲みたい私は008にも009にもましてやNo.700でもなれないだろうし、敵ならお酒に毒をもられて瞬殺されるだろうし、ボンドガールだったら飲んだくれて話が成り立たなくなるだろう。
氷結無糖片手に、後ろ!後ろに敵いるよ!と画面に向かって話しかけている方が圧倒的に私には"マリアージュ"である。
"オシャレ"に飲めない。
グラスに移すべきか...?と"オシャレ"な今作のオープニングと缶のままの氷結無糖を見比べながら、第1作目から2年ぶりに第2作目を鑑賞。

そんな"マリアージュ"エピソードが面白かったという今作の話を
「アメコミにも007のオマージュがたくさんあるから観なきゃなんだよねー」
と言うアメコミ好きの友人にしていたら
「うん、むぅ、ゼロゼロじゃなくてダブルオーね?」
とご指摘頂いた。
ですよね。
今作のように暗号解読機を盗み出したとて、万が一その暗号解読機で暗号を解読出来たとて、そもそも自分のコードネームが覚えられないし、解読出来た暗号をまさかの誤読という事態が発生しそうなので、やっぱり私はスパイにはなれない。


1作目で驚いたSF色が薄まり、今作の方が私は好みだった。
[映画]と[自転車]の"マリアージュ"が好きで、『小説家を見つけたら』でサドルを片手でつかんで自転車を押して歩くショーン・コネリーを観て身のこなしの優雅さに驚いたのだが、007を観ているとそりゃカッコいいはずだわ、となる。
オリエント急行もボートも良いんだけど、ジェームズ・ボンド、自転車に乗ってくれないかなぁと思いながら2缶目を開けた。
お酒にこだわりがあるジェームズ・ボンド、よく飲んでいる印象があるので自転車は飲酒運転になるしダメかな、とどうでもいい事を思った。

1作目にはウォッカ・マティーニが、今作にはキャンティが出てくる。私的には007は結構なお酒映画だ。
そう[映画]と[お酒]の"マリアージュ"が結局1番好きなのだ。



"飲んだくれより愛をこめて"
むぅ

むぅ