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革命前夜のhorahukiのレビュー・感想・評価

革命前夜(1964年製作の映画)
3.8
舞台のパルマ含めて監督曰く自身の経験を基にした自伝的作品らしい。ブルジョワの子に生まれた主人公が美人の婚約者と結婚するという如何にもブルジョワ的な価値観を承継することに抵抗を感じ、自分の叔母さんに惹かれていくという近親相姦展開。「彼女は街」発言、教会内の聖像との相似カットで彼女を捉える主観の投影がブルジョワ的価値観=教会を婚約者に見出しているのがわかる。柵越しのショットも印象的で、囚われの存在であること、そしてその移動方向からも戦うでも抵抗するでもない平行線という友人の立場とそれをブルジョワ家系と併せて自虐する内面が見え隠れしている。親と子の関係性については、主要キャラ全てにおいて対称され、その宿命と呪いを『ヘレディタリー』的に恐怖として描いているように感じる。今回はクローズ気味のジャンプカット?的な編集や顔の数珠繋ぎで感情を語っていくシーンが多く、オフスク等用いて感情の隔絶等を紡ぎ、雨とあいだの障害物、「思想」の廃墟等、個人的関係性と社会変革との関係性を相互リンクする演出も多かった。イデオロギーはバカンス、現在への郷愁(インタビューで語ってた離別の恐怖、過去と現在)、革命前夜にしか生きられない。オイディプスとナルキッソスっていうインタビューのタイトルも超的確でよかった。
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