記録。
身を滅ぼすほどに溺れる快楽。

マイナー作品を鑑賞しようシリーズ。
といっても一応日本でも劇場公開されてたようで、監督は『タクシードライバー』や『レイジング・ブル』で脚本書いてたポール・シュレイダー。

実在したスターが殺害されるまでを描く伝記映画。我が国日本においてはこのボブ・クレインなる人物はあまり名が知られていないような気がするけど、よく国内で配給したなぁ。

ラジオからテレビの世界に進出し、一躍スターとなったボブ・クレイン。時を同じくしてVTR機器の開発者であるジョン・カーペンター(※)と友人となって以降、スキャンダラスな行為に溺れていく。

(※) あのジョン・カーペンター監督とは別人。紛らわしいから役名変えて欲しかった…。

もうひたすらに堕落を見せつけられる映画。女を取っ替え引っ替えしてセックスに耽り、その様を撮影。テレビどころか自家製ポルノにまで進出するワケだ。案の定バレて家庭は崩壊し、スターとしての輝かしい日常も永遠には続かない。

この映画が怖いとするならば、最終的に殺されたという事実ではなく、破滅的にのめり込んで這い出せない、壊れた理性だと思う。

光あれば影あり。煌びやかな世界には相応の裏がある。そしていつの時代も大衆はその裏に興味を惹かれるものだ。いや、スターって大変だなぁと。

ビデオ

実在のTVスター、ボブ・クレインの波乱に満ちた生涯を、ポール・シュレイダーが映画化した伝記ドラマ

大佐

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我々が何をしなければならないかと言うことを指示し決定するのは、ただ苦痛と快楽だけである。〜ジェレミー・ベンサム〜

人間は大なり小なり誰もが何かしらの欲求を満たす為に存在し続ける生き物で、その欲求を歪曲し満たすことだけを生き甲斐にすれば理性は邪悪な感性で押し潰される。

敬虔なクリスチャンで家族思いな実在したテレビスター〝ボブ・クレイン〟が、踏み込んでしまった快楽の世界に溺れ地の果てまで堕ちていく実話ベースの物語。

彼は実に正直で本能に背かない素晴らしい人間かも知れない、ある意味で。

宗教で理性を保ち人間の欲望を制御できるはずもなく、寧ろ隠した欲望は数十倍に膨れ溜まり込む時限爆弾。

快感と苦痛は常に同居している事を忘れてはならず、そのバランスが崩れたとき人間は人間でなくなる..★,