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フィツカラルドのKKMXのレビュー・感想・評価

フィツカラルド(1982年製作の映画)
4.2
 アマゾンのジャングルにて、人力で船を山越えさせるガーエー。とにかくそれに尽きます。

 主演はお馴染みキンスキーですが、元々ジャック・ニコルソンを予定していた作品で、キンスキー宛書きじゃないためわかりやすい狂演はありません。ただ、観終わってみると、これはやはりキンスキーじゃないとダメだったな、と思わざるを得ないです。

 広大なジャングルにて、船を山越えさせるという誇大妄想的アイデア、そしてそれを実行する狂気の行動力こそがキンスキー=ヘルツォーク的だなぁと感じます。本作を観て、ヘルツォークは自然と対峙できるような強大なエネルギーを描きたい人なんだと感じました。理屈じゃないパワー、神(大自然)をも恐れぬ誇大妄想、そしてそれを成しうる瞳孔カッ開いた狂気、これを作品にパッケージ化したい人なんでしょうね、ヘルツォークは。で、それを実現するためには一代限りの狂優・キンスキーが必要だったということでしょう。『アギーレ』と本作は上手くいき、『コブラ・ヴェルデ』は失敗した。そんな印象を持ちました。


 しかし、これが現在にリメイクされて全編CGになったらハナで笑っちゃうクソガーエーに堕するでしょうね!とにかく、ヘルツォークの狂気を表現するには本当に船を山越えさせる必要があるわけです。
 本作、ぶっちゃけ前半は退屈でしたが、船の山越えターンになると、ヘルツォーク=キンスキーによる神への叛逆が始まるため画面からヤバい瘴気がムンムンと立ち上がります!とにかく、「うわ〜」って感じで、ピラミッド建設とかこんな感じだったんだろうなぁと、人類の偉大なる狂気遺産に思いを馳せたりしました。

 とにかく、本作は山越えシーンに尽きました。キンスキー=ヘルツォークは本作と『アギーレ』がやはり2大巨頭、そしてドキュメンタリーの『キンスキー我が最愛の敵』により完結する印象です。

 偉大なる狂気の監督ヘルツォーク、そして地獄に堕ちたと思われる最悪の狂優キンスキーよ永遠なれ!

 狂!狂!狂!
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