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赤い影のhorahukiのレビュー・感想・評価

赤い影(1973年製作の映画)
4.4
目を離しているうちに、赤いカッパを着た娘が池に落ちてしまい溺死。数ヶ月後、教会修復の仕事のためベニスに来た主人公夫妻。偶然、霊能力者に出会い、夫妻の近くに赤いカッパを着た少女が見えること、その少女が「ベニスから去らなければ夫の身に危険が及ぶ」と警告してることを伝えられる。霊能力者が言っていることは本当なのか?ベニスで起こっている連続殺人事件との関係は?ベニスで何度も見かける赤いカッパを着た子供の正体は?……という話。

これは面白い!!傑作ホラーとして名高い作品だったので探してたんです。でも近所のTSUTAYAのホラー棚になくて……と思ってたらサスペンスの棚にありました!ちゃんと探さないとダメですねσ(^_^;)

冒頭から印象づけられる「赤」と「水」に対する不安感。ベニスに来てからもずっとこれがつきまといます。そして時折入る現実なのか判別できないシーン。基本的には、娘を亡くした夫妻がベニスで過ごす様子を切り取ってるだけなのですが、それらによって幻想的かつ気味の悪い雰囲気を醸し出しています。頻発する殺人事件や霊能力者の存在も合わさり、今から何が起ころうとしているのか…とにかく不吉な予感を観客に植え付けてくるんですね。ここの空気感が素晴らしいです。そして、今まで感じていたことをひっくり返す衝撃のクライマックス。

娘を亡くしたことや、霊能力者に娘が近くにいると言われたこと。これらに対する夫と妻の考え方・価値観の違い。監督のインタビューによるとここら辺が1番描きたかった部分のようですね。真に愛し合っているのに相容れないことの恐怖というか。ここがラストの船のシーンに繋がってくる。あの時、なぜ笑顔だったのかと。見てる時には全く気がつきませんでしたが、言われると納得です。この作品、映画史に残る濃密なセックスシーンがあることでも有名なんですけど、この裏テーマを描くために必要だったというわけですね。すごく深い作品です!傑作です!( ^ω^ )
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