車いす生活の少女トドは両親から読んでもらう絵本の世界が大好きだった。ある日「人魚姫」の絵本を読み、自分も歩けるようになったら声を失うのではないかと不安になる。しかし足の手術は成功し、人一倍靴が大好きな女性に成長し、歯医者さんと出会い結婚するのだった。幸せな日々はいつまでも続かず。

主役のトドが成長してからを演じるのはビビアン・スー。唇の上にある小さなほくろが非常にチャーミングで、全編を通してファンタジー要素の高い絵本の中の世界観を色彩豊かな原色使いの中に包み込み、カラフルポップなインテリアや洋服の数々と、それに合わせるオーダメイドの原色基盤の斬新なデザインの靴が日々の幸せに寄り添う。

カーテンのない部屋で眠るトドの日よけに夫は帽子を積み上げてかぶったり、靴屋さんに気を取られる彼女を、その場から夫が運び、それでも魂はお店の前に居座る描写だったり、すべてが絵本の中から飛び出たような、キュートでメルヘンなタッチで描かれていく。

しかし彼女は大好きな靴と大好きな人、両方を手に入れて幸せな日々を過ごしていた時、事態は一変する。部屋にはあふれかえった靴、彼という存在がありながらも靴に依存し、魅せられ、履かれることのない靴たちが、置物と仮して涙を流している。彼女がお店で靴を選ぶときに、選ばれなかった靴が涙を流していたように。幸せになれていくと、その日々が幸せだということに気が付かない。人はどんどんほしがり、どんどん欲張りになっていく。

そうしたときに、人は大事なものを失うのだ。本当に大事なものなんて、片手に入るぐらいの少ないものだ。それは人生を重ねることで、増えていくものではなく、どんどん減っていく。なぜなら本当に大事なものに気が付かされ、それを守るために不必要な脱ぎ捨てていくからだ。

メルヘンな世界から一変して見せる、残酷な日々もしっかりその枠から出ることはなく、言葉少なに絵本の中の世界観をしっかり引っ張りながらも、そこに潜む悲しみや二人の距離感をしっかり暗黒の中で描いていく。そうして気が付くのだ。本当に大事なものに。人は失った分、強くなれるし、
本当に大事な物を大切にすることができる。大事なものを二つ同時に手に入れることなんてできないのだ。一つだから大切にできる。そうして失うからこそ、その大切さに気が付けるのだ。失ってから始まる人生、悲しみがあるからこそ、そこに希望が幸せだった日々があることに、気が付けることができる。深いメッセージを絵本からの着想と、世界観で心に寄り添うように描く。一つの物語の幕閉じは、私たちの人生の始まりでもある。

ビビアン・スーが超〜〜〜可愛くて、絵本みたいにカラフルで、出てくるひとみんな優しくて、すっごく可愛い映画だった！

車いすの少女ドドは、絵本の「人魚姫」と同じく足を夢見ていました。手術の結果、無事歩けるようになったドドは、靴が大好きに。そんなとき歯科医の彼と出会います。
優しい王子様と出会ったドド。でもおとぎばなしの続きは…やっぱちょっと切なかったり。
靴の擬人化とか可愛かったな👠✨

一般的な名作と画するように、あくまで個人的な名作ってありませんか？

私の場合「スモーク」「空気人形」「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」「もらとりあむタマ子」「女子ーズ」あたりか。

そしてこのマイナーな映画もその仲間に入りそうな予感がびっしり (^o^)/

とにかく色彩がレトロでキュートでどのシーンを取ってもジャケットのような見惚れるような配色。

小道具ひとつ抜かりがなく歯医者はポップ過ぎて嬉しい悲鳴が。

冷静に見ても「アメリ」「ロシュフォールの恋人たち」に勝ってる。

ストーリーと言うより絵本と言った方が適切なメルヘンチックなスタイルでイタズラ心やクスッと笑えるような演出がぎっしり。

主演のビビアン・スーは幼女のような透明さを内奥に住まわせた美しさ。

彼女にとって靴とは憧れであり、自己証明であり、絶望だったりする。そんな彼女を人魚姫に例え、本当の「幸せ」とは何か見出す過程を追っている。

ダンナさんも優しくて、カーテンのない部屋で眠るダダ(ビビアン)が起きないようハットを幾重にも被り、影を作ってあげてる。

羊の謎も効いてるし、ラストも心地よく眠りにつけるような温かさ。

靴が可愛くて、靴が可愛くて、靴が可愛い。

眼福。眼福。眼福 (^O^)