茜

クロールスペースの茜のレビュー・感想・評価

クロールスペース(1986年製作の映画)
3.6
変態大家が経営する殺人アパート。
構造が全く理解出来ないカラクリ屋敷や、部屋に置いてある不気味な拷問器具に小物といった美術センスがとても良い。
クラウス・キンスキー演じる大家から醸し出される不気味な圧も素晴らしく最高最狂でした。

男の入居希望者はとっとと門前払いし、綺麗な女性ばかりを自身のアパートに住まわせる大家。
夜な夜な通気口から女性の部屋を真顔で覗き見る姿の気味悪さったらない(この覗かれてる女性も鋏でブラを切って乳首出して遊んでたりする面白い人である…)
こういう覗き趣味の変態が主人公の映画はさして珍しくもないんだけど、本作は大家の根深い過去にもちゃんと食い込んでいるのが興味深い。
間違いなく悪趣味で倫理に欠けている大家なんだけど、こっそり夜中にロシアンルーレットに耽るシーンもあり、この人なりに罪悪感や葛藤があるのかなとも思わされる。

後半で大家が発狂してからの盛り上がりが面白くて、あっという間に多くの人が死体になるんだけど、その死に方も何気に一人一人構図が凝ってる。
そして多くの人が触れている「台車で通気口追いかけっこ」という名場面…これは笑うでしょ、またインパクト大の忘れられない名シーンが増えた…。

ここまで盛り上げておきながらのラストが想定外にあっけなく尻すぼみ感は否めないんだけど、何はともあれクラウス・キンスキーの怪演に尽きる。
やっぱりイカれた人間が主人公の映画は面白い。
茜