いの

バンディッツのいののレビュー・感想・評価

バンディッツ(1997年製作の映画)
3.8
好きなドイツ映画がまたひとつ増えてうれしい。これは御伽話だと思うんやけど、公開当時ドイツでめっちゃ受けたというのだから、わたしは今すぐ当時のドイツに逆走し、みなさまと握手したい気持ちを抑えることができない。刑務所から逃走した女性4人。彼女たちが結成したのが、バンディッツというバンド。向かう先々で歌い、ファンも激増。


逃走劇という言葉が似つかわしくないくらい、彼女たちは、捕まったらどうしようなどという ちっつぁなことで怯えたりしない。ムショから出て、日射しを浴びて駆ける姿はとても美しい。テルマ&ルイーズを思い出す。テルマ&ルイーズも監督は女性だったけど、今作もきっと監督は女性。そう感じるのは、登場人物の4人の女性が、駆け引きをしないから。誰かを出し抜くとか、そういうの一切なし。どんどん互いを好きになる。「自由とは失うものが何もないこと」というジャニスの歌詞が映画の中で引用されるのだけれど、失うものなど何もない彼女たちの潔さが、その悲しみや覚悟とともに、観る者を惹きつけるのだと思う。
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