あまのかぐや

20世紀少年<最終章> ぼくらの旗のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます


2009年9月24日鑑賞の記録。

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うちの子供(小学校高学年)の同級生たちの間では、映画館で見た子も、テレビ放送見た子も、この最終章を誰がいっとう先に見るかと競いあってるような感じでした。ついこないだまでポケモン映画で盛り上がってた子たちがなぁ。

第一章の「昭和ノスタルジー」を味わう我々大人に対して、小学生たちはどんなところを興味深く見ていたのか、そして何を感じていたのでしょうか。

「なにがそんなにたのしみなの?」と聞くと「だってさー“ともだち”が誰か気になるじゃん」

そうか、子供たちの目的はあのマスクの下の推理合戦か。

わたしの感想としてはまずは一言。「あー、終わっちゃった」・・・。

2008年秋口の公開された第一章から一年近く、なんのかんので日テレの策略に嵌りまくってるような気がしましたし、いろいろ賛否は耳にしましたが、「続きはどうなるのー!」とわくわくを持続し、これまでなかったエンターテインメントという意味では楽しませてもらいました。

ケンヂのバンド(唐沢さんメイン、古田新太と高橋幸宏のユニット)のメンツが…。ここで春波夫の複線も回収された。唐沢さんのステージアクションが妙に堂に入ってるなー、感心しながら見てたら、エンドロールが流れて。

え、まさかこれで終わり?
そうだったら、3作で一番の低評価かな?と思いながらひたすら待ちました。「すーだららら」が脳に刷り込まれるのを感じながら。

エンドロールの文字に、これまで出てきてない俳優のあの名前が・・・。

「あれ?このひとどこに出てた?」と疑問符をともしつつ。エンドロール後の数分があります。これがすべてとは言わないけど、この数分によって、この映画は忘れがたいものとなりました。

そしてここに、この大事な数分に彼が配されたことも。

するってーと、え?

「□のすけ」が成長して「○のすけ」になったのか!

実に自然な成長でした。これまで見てきた作品の中の子役→成長後の配役も、似てる子探してきたなあ、と感心しましたが、ルックスの相似に頼らない圧巻の演技力。

そしてやっぱり、ともだちの正体とか、もうどうでもよくって。

ここまで第一章、第二章と地球を守り、人類を救う正義の味方だったケンヂが、実は「わるいもん」「ともだち」をつくった。この衝撃の結末に小学生たちはどう感じたでしょうね。キリコもしかり。そしてそれらに蹴りをつけるのが運命の子、カンナ。

さてこれからコミックス版「20世紀少年」に着手しようと思い、ぱらぱらと読み進めているが、映画のばっさりざっくりなテンポで結末まで追ってしまった脳は漫画の展開がまだるっこしくて仕方ない。

連載期間中に追っていた人はさぞ楽しかっただろうなー。1~3章、約1年、監督ととも作り上げていった俳優さんたちも、あの世界に取り込まれ、キャラクターを100%演じきった主要なキャストのみなさんはさぞ楽しかっただろうな、と思います。

なかでも彼が、あの、秘密基地のある原っぱで初めて素顔を晒したシーン。一年間引っ張って引っ張ってみせた素顔は…。

超豪華、ベテラン・個性派・芸達者を集め、原作ファンも唸らせたどの出演者よりこのときの顔は、ずば抜けて「20世紀少年」でした。とわたしは思いました。

積年の怨念と悲しみに満ちた悲しい目の色に鳥肌たちました。すばらしい。

「これで おしまい」

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コミック原作で、公開を待つ間、こんなわくわくと盛り上がる映画、この先、生まれてくるのかな。

映画の中のともだちキャンペーンが、かなり旧式に見えたように(もちろん政治と宗教、拉致や洗脳など古来から通じる普遍もありますが)メディアや情報、それから作り手と受け手、エンタメ文化そのものが、当時と、あまりに変わり過ぎたような。

それでも、

時間と人員と予算の大きさに負けてない、大河ドラマのような映画。スケールの大きな連作映画が、発表される時間。公開の日を待つ時間。味わう時間。そして鑑賞後に続きを待つ映画好き達と語る時間。

そんな感動と楽しみを見い出したのって、これが最初だったかも。
それが近年のマーベルシリーズの楽しみ方に受け継がれているんですよ、私の中では。
あまのかぐや

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