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ベニスに死すのLoveAnimal14のネタバレレビュー・内容・結末

ベニスに死す(1971年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

フィルマの住人になり、御三方のフォロワーさんの素晴らしいレビューを読まなければ、きっとスルーしていたであろう作品。単純に映画は好きだけど、その好みにも相当な偏りがあり、無意識に避けてきたカテゴリーの中のひとつとでも言いましょうか。そこに今回、思いきって飛びこんでみました。

結果、自分でも驚いたことに…細胞の片隅にほんの少しだけ眠っていた説明のつかない感性が、目を覚ましたようです。以前の自分なら退屈という言葉で片付けてしまっていたであろう、この作品。だけど、今のボクの心根にはかなり響くものがありました。

タージオに対するアッシェンバッハの想い。老紳士が少年に抱く恋とも愛とも呼べてしまう、いかんともしがたい心情。まるで美しすぎるタージオを、瞳で、心で、追い続けるアッシェンバッハの姿も滑稽でありながら、その反面、流動的な美に呼応するかのように静かな躍動を見せる。なにかしらに魅せられた人間のとる行動に、年齢、性別、地位や名誉も関係ない。本能のようなものに突き動かされてしまうのは仕方ないのかもしれない。道化師のような化粧をほどこし、死期を感じとった砂浜でタージオを見つめるアッシェンバッハ。まさに砂時計の砂がすべて下に落ちてしまう瞬間を迎えようとしている…その刹那のときでさえ、逆光の中で圧倒的な美しさを見せつけるタージオ。生命の音色が聴こえなくなっていく最期のとき…タージオの指さした先に見えたものが、アッシェンバッハにとっての救いだったのかもしれない。

マーラーの交響曲第5番に包まれたエンドロールを観ながら、なんとも言えない深い余韻がボクの心のドアをノックしました。
思ってもみなかったことだけど、今回この「ベニスに死す」に触れたことで…いわゆる名作と呼ばれる映画への探究心みたいなものがボクの心の中にやって来ました。さっき、ノックしてきたのがそれだったんだと思います(笑)

フォロワーの御三方、いやホントにありがとうございました。出会いが出会いを生むとは、まさにこういうことなのかもしれませんね😊 Grazie♡
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