革命女と青春男
津川雅彦若っ

キューバ在住の日本人青年・アキラはある日、キューバ人女性のマルシアと出会い、一目惚れをし猛アタックをかけるもマルシアの眼中には革命しかなかった…というお話。

公開された当時は日本は大学闘争真っ盛りで、その背景から考えると、革命思想に取り憑かれたマルシアとヤることしか考えてないアキラを対比させることで日本人に対して皮肉を放ってたのかな、、、監督の思想は知らんけど

未だ革命の残り香が漂う時代のキューバの風景は村上龍の小説で読んだものや『セブンデイズ・イン・ハバナ』で見たキューバとは同じでありながら違った景色を見させてくれた。

「キューバの恋人」

冒頭、一九六八年の夏。キューバで漁業指導員をしているアキラ。ハバナの下町で混血娘マルシアと出会う。煙草女工、革命記念館、カストロ、ゲバラ、反革命、 古都、犠牲。今、サンチャゴでの夏の思い出が映る…本作は黒木和雄が一九六九年に監督した劇映画第二作目で、当時第三世界革命の枝柱と言われていた社会主義国家キューバを舞台にノンポリの日本人船員と女性革命兵士が繰りなすラブロマンスを描いたもので、チェゲバラが好きな自分にとっては欠かせない映画である。撮影には前作の「とべない沈黙」と同様に鈴木達夫、大学闘争中の日本に波紋を投げかけている。キューバから監督を請われ、独立プロダクション初の外国との合作映画としても有名だ。

どうやらキューバ革命十周年を機に、キューバの国立映画芸術協会と合作したものらしく、主演は津川雅彦でその他は全くもって知らない外人役者たちである。しかもラテンビート映画祭オープニング作品として「キューバの恋人」が上映したみたいだ近年。さて、物語は一九六八年。革命から十年後のハバナに降り立った船員アキラは、街で見かけたマルシアに一目惚れする。彼女は葉巻工場で労働しつつ、革命のため民兵になっていた。彼は彼女を追ってキューバを縦断。行く先々で革命に献身する民衆やその苦難の歴史を目の当たりにする。それは、求愛の旅であると当時に、平凡な日本人の価値観とキューバの現実との葛藤の旅とも言える。


本作の冒頭は大海原のファースト・ショットで始まる。船の汽笛の音が鳴り響き、カットは変わりキューバの街並みが上空から捉えられ、人々が街を行き来する場面へと変わる。そこ二人のキューバ女性が会話しながら歩くと男性がかわい子ちゃんと声をかける。男性はタバコを吸いながら通り掛かる女性を見つめる。カットは変わり、日本人男性が洗濯物を干している場面へ。彼はベッドに座りナイフで酒のコルクを抜き取りラッパ飲みする。カットは変わり、キューバの路地裏が捉えられる。彼はルイーザと言う女性を訪ねて一日中回る。しつこい中国人ねと勘違いされあしらわれる。男は立ち寄ったバーで女性に話を聞こうとしたら女性が突き飛ばして大騒動になる。警察が訪れる。カットが変わり、男はキューバのビーチでとある女性と知り合い砂浜で話をする。彼女はサンチャゴに出発すると言うことでその場で二人は別れる。

翌日、彼はその知り合った女性とバスに乗りサンチャゴに向かう。しかしバスの中で男性にこのバスはサンチャゴ行きではない事を告げられる…と簡単に冒頭話すとこんな感じで、当時のカストロの演説資料映像が映し出されたり、ゲバラに言及する場面がやはりある。これ資料映像提供しているところが凄すぎて、あっぱれ。かなり貴重な映像がモノクロームで物語の合間合間に挟まれるが残酷すぎる。NHKとかで流れてそうな立派な映像資料だ。それと主演の香川雅彦がハンサムすぎてびっくりした。スペイン語指導教師に猛特訓されたと思うが、スペイン語が非常に達者になっている。この映画は日本映画になっているが、舞台がキューバだからほとんど字幕付きのキューバ映画を見ているかのようだ。

稲狩りの場面の野外作業風景がすごく印象的で、グロリアと言う黒人女性と出会って交流を深める日本人男性アキラとの会話とか面白いし、住民たちが大きな鎌を持ってどんどん狩ってる場面の流れ作業が少しローアングルでとられているのも画期的。その女性の自宅で日本人が家族と食事する場面での交流の仕方とかもぎこちなくて面白い。それとトリニダードの古い町並みの景観と風光明媚がすごく綺麗である。そこを男女が歩きながら会話するシーンは印象的。カストロの実際の演説映像も流れてくる。アキラがマルシアにストーカー混じりなことをしているので、結構今ではやばいやつだと思われる役柄である。クライマックスあたりでキューバのお祭りと日本の伝統的なものが混ざり合って混沌とする野外のショットは圧倒的だ。みなぎるエネルギーが爆発する場面だ。

最後にどうやらキューバで前作の「とべない沈黙」が上映されたらしく、キューバに行った際に合作映画の話が出たそうだ。

現地でのロケが気になって鑑賞