このレビューはネタバレを含みます
トランシルヴァニアの古城のドラキュラ伯爵が不動産屋ジョナサンの妻ルーシーに惚れてヴィスマールに引っ越すけどルーシーが捨て身でこれを斃すお話。良いタイミングでクシャミする少女。
1922年版のリメイクで脚本は原作に忠実な部分が多い様子。無理のある展開もそのままのようですが、そこは映像のインパクトで見事に乗り切っていて凄い。
表現主義を炸裂させた撮影が素晴らしいです。特にドラキュラことクラウス・キンスキーの単独のカットがひたすら美しい。ドラキュラの異質性に加え哀愁までも引き出すような撮影。また、山や海岸でのカットも美しいです。
ドラキュラを筆頭に、普通に撮ってしまえばとても間抜けな絵面になりそうなのに、仄かに諧謔を残しながら重厚さをも感じさせるような映像の数々。レンフィールドはさすがにクドかったですが。
原作に則った時代錯誤なまでのテンポや撮影と演技のインパクトで、原作を完全に上塗りするような映像の力を感じた名作でした。
